『SR サイタマノラッパー』で衝撃の映画デビューを果たし、近年はとてつもない演技力から“悪役”の一言では片づけられない圧倒的な存在感を放つ奥野瑛太。ドラマ「最愛」での好演も記憶に新しい彼が、11年ぶりとなる主演作『死体の人』に挑む。


●ヒーローイズムに憧れていた少年時代

——幼い頃の夢は何でしたか?

 幼稚園に入る前から、ずっとジャッキー・チェンになりたかったです。ほかの子がウルトラマンや仮面ライダーにハマってるときに、ずっとレンタルビデオでジャッキーの映画ばかり借りて観ていました。それで「将来は自分も香港に行って、サモ・ハン・キンポーとユン・ピョウと一緒に、竹でできた足場から飛び降りたりするんだろうな」と思っていたのですが……(笑)。その後は『トップガン』を観て「パイロットになりたい」、『ロッキー』を観て「ボクサーになりたい」というように、何かしらのヒーローイズムがあったのかもしれません。

——その後、日本大学藝術学部映画学科に進学されます。

 小学校からやっていたアイスホッケーを挫折して、何か夢中になれることを探していたときに、母が「あんた昔から映画好きだったよね?」と勧めてくれて、日藝に入ったんです。北海道ではなかなか映画の制作に触れる機会なんてなかったので、どのように映画が作られるのか興味ありました。ただ、演技コースに入学したものの思い描いていたような学生生活ではなかったですね(笑)友達とノリで「映画作るぞ!」と意気込んでみたものの、そのほとんどが制作途中でオクラ入りになることが多く、このままではマズいと思っていました(笑)。

——そこから、MC MIGHTY役で入江悠監督の『SR サイタマノラッパー』に出演される経緯は?

 在学中、小劇場で公演をしていた先輩を頼りに舞台に関わるようになりました。その流れで07年に劇団「赤堤ビンケ」の旗揚げに参加したのですが、そのメンバーで先輩の駒木根(隆介)さんがきっかけです。過去に彼が、入江悠監督の作品に出演した経緯もあって、「田舎の冴えないラッパーの話を撮りたい」と主演で声が掛かり、暇してた僕も何でもやるスタッフの一人として呼ばれたんです。撮影直前までスタッフも出演者も足りてない現場でしたので、なんやかんやあって自分も出演することになりました(笑)

2023.03.17(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
スタイリスト=服部昌孝
ヘアメイク=AMANO