秋の行楽シーズンを前に今話題の、色鮮やかな“映える”巻き寿司。中でもネット上で人気の3人の名手の作品を紹介。あなたが作りたいのは?


 華やかな色と模様が心躍らす巻き寿司アートには、作り手の思いが食材と共に巻き込まれている。

 キャラクターをモチーフにした一品はその代表例。津葉木茶々さんの原点は、幼き日の思い出だ。

「運動会のお弁当に祖母が可愛い巻き寿司を入れてくれるのが楽しみでした。そのワクワクを今の子どもたちにも伝えたくて、オーダー受注で『似顔絵巻き寿司プレート』も作っています」(津葉木さん)

 柄の入った巻き寿司の歴史は、江戸時代まで遡ることができるそう。レッスン講座を持つ関 恵美さんには、とある願いがあった。

「巻き寿司は日本の伝統的な食文化ですが、近年では家で作らない人が増えているんです。みんなが興味を持つような綺麗な見た目のお寿司を作ることで、後世に技術を残したいんです」(関さん)

 巻き寿司は、食材の魅力を伝えるうえでピッタリの“表現方法”でもある。八幡名子さんは、「地元・八王子市で作られた食材をPRする目的がある」と語る。

「『パッションフルーツ巻き』は外側に皮の色、内側に果肉の色の巻き寿司を並べることで、一つの容器内でパッションフルーツの実を表現しています。巻き寿司は食べやすいうえ、色や形を自由にアレンジできるのが良いところ。食材を見つめ直すきっかけになればと願っています」(八幡さん)

◆お祝い巻き、モザイク飾り巻き

お祝い巻き

 松竹梅、富士山と桜、秋桜、鯛、鶴、亀の6種類で構成される。お正月などお祝いの席に人気の一品で、刻んだガリを入れて巻くことで食感にアクセントを出している。

「濃い目のすし酢で全体の味をまとめ上げるのがポイントです」(関さん)

モザイク飾り巻き

 門外不出のレシピには、プラモデルの設計図のように事細かな調理手順が記されている。4種類の巻き寿司を同じ種類が隣り合わないように敷き詰め、モザイク柄を描く。各名称は(左上から右へ順に)花車、菊水、ダイヤモンド、ステンドグラス

関 恵美(せき・めぐみ)さん

アートな巻き寿司を世界に発信することを目的に、茨城と東京でレッスン教室を主催。毎月100名程が参加する人気講座に。

Happy Roll Academy

所在地 茨城県下妻市⾚須519-2
※要予約 https://happy-roll.jp/sushi/index.html

2022.10.22(土)
文=「週刊文春」グラビア
撮影=榎本麻美