気軽に立ち寄れるカフェスタンド

 渋谷スクランブルスクエアの7階にあるおしゃれなスタンドカフェが「haishop cafe 渋谷スクランブルスクエア店」。色鮮やかなアートパネルや、ガラスケースの中に置かれた色とりどりのお惣菜など、店舗デザインは渋谷のポップな雰囲気にマッチしています。

 しかし、そんなポップさとは裏腹に、お店に込められたコンセプトは、社会問題に丁寧に向き合い続ける真摯さに満ちたものでした。

「私たちが享受している“食”の裏には、生産や加工で起きる食品ロス問題などが数多くあります。ですが、多くの人はその末端である消費でしか接していないので、こうした問題にはなかなか気づけません。弊社はお店を通して、こうした問題意識を持ってもらいたいと思っています」(株式会社Innovation Design サステナブルデザイン室ゼネラルマネージャー・表秀明さん、以下同)

 ヴィーガンラーメンの開発など、訪れるお客さんとの交流のなかでさまざまなプロダクトを生み出してきた「haishop cafe」。こうしたコラボが、サステナブルな取り組みへの意識を洗練させてくれたのだそうです。

「私たちがサステナブルな取り組みを始めたばかりの頃、あるフルーツ農家さんと食品ロス問題を改善するプロジェクトを行いました。そのとき、我々は『流通に乗りづらい規格外品を使って何かやりましょう』とご提案したのですが、農家の方は規格外品をジュースにするなど、ご自分で流通・消費する術をご存じでした。

 我々の提案は、そうした取り組みを横取りしかねないものだったのだと、とても考えさせられました。『生産物を使うなら「規格外だから」ではなくて、規格を問わず使って欲しい』という農家の方の言葉から我々が学んだのは、生産者の方と密に話し合い、実情に即した“サステナビリティ”を探っていくことでした」

 紋切り型のサステナビリティではなく、手間を惜しまず生産者とよりよい方法を導き出す姿勢からは、並々ならぬ想いが垣間見えます。

2022.10.08(土)
文=TND幽介(A4studio)
写真=深野未季