一人になったら一人になったで楽しめばいい。趣味に時間を使うのも、お酒をたしなむのも自由。みんな私のものという感じです(笑)。そう考えると、自分の動きやすいようにしたほうがいいんじゃないかと思って、主人が亡くなったときはソファーを捨てましたし、彼の洋服を処分したら、洋服ダンスと和ダンスも必要なくなったので捨てました。

 

――思い出はあるけれど、もうこの世にいないのであれば潔く、ですか?

多良 主人しか使わなかったソファーだから。洋服も、思い出のものは数枚残して。その後、ひとりの生活に向けて、茶碗やお皿も減らしました。とにかく掃除がしやすいように、物を床に置かない生活をしたいと思って、1日1品捨てる運動もしました。片づけをしようと思うのではなく、1日1品捨てると決めて、毎日、何かしら処分をしていましたね。

 ゆとりができると、今度は自分の好きなものだけを揃えたいと思って、吟味して好きなものだけを買うようになりました。食卓にいつも置いている、ランチョンマット代わりの木製プレートについて、YouTubeの視聴者の方から「どこで買ったんですか?」というコメントを多くいただきます。自分のお気に入りをみなさんに気づいていただけて、とても嬉しく感じています。

できないものは、さっさと割り切ってしまう

――サステイナブルです(笑)。自分の哲学と趣味が循環していて、カッコいい。

多良 年齢が年齢ですから、やっぱりできることとできないことがあります。

 タップダンスをやりたいという夢があったのですけど。近くにタップダンスの教室はないし、通うには歳を重ねすぎている。もう現実的に無理だからあきらめました。できないものはできないと、さっさと割り切ってしまうのです。好きな気持ちは変わらないから、YouTubeではタップダンスの動画を見ていますけどね。

――潔すぎる……。

多良 自分のできる範囲で、手ごたえを感じられればいいんです。

2022.09.18(日)
文=我妻 弘崇