作り手たちを惹きつける京都の魅力とは何なのか。
お茶や着物など暮らしに息づく伝統文化や四季を感じる環境などから生まれる、京都ならではの創作のシーンを見つめていく。
今注目の作り手を5回に渡りご紹介。
繊細なガラス作品は新しい京都の美の形
◆「PONTE」
佐藤 聡(さとうさとし)
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比叡山の西麓、八瀬。天井を抜いて気持ちいい広がりを作った古民家で、佐藤 聡さんはガラスを吹く。同じ京都市内からこの場所に工房を移したのは2020年夏のこと。
「ずっと探していたんです。安らげる、家みたいな場所がいいなって」
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長野県に生まれ、建築とデザインを学び、住宅メーカー勤務の後、30代でガラスの世界に飛び込んだ。佐藤さんが作るのは宙吹きガラス。
型を使わず、遠心力を利用しながら溶けたガラス塊に息を吹き込み成形するという、古典的な手法だ。
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「日本におけるガラスの世界は、長い伝統があるわけではなく、自由なんです」
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とはいえ、佐藤さんの代表作のひとつ、繊細な文様がガラスのなかで美しい螺旋を描くレースシリーズは、ガラス作りのなかでもかなり高度な技術が求められるもの。
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自由という言葉からは想像できないほど綿密な設計図に基づいて、幾何学的な文様が生まれる。
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また、7年前に花街である祇園にショップを構えてから、京都の伝統的な職に携わる人たちと関わることも多くなり、その中で、茶道具などがもつ「日本の型」というべき決まりごとの美しさも学んだという。
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八瀬に工房を移して1年と少し。見るものに、水や風や時間を想起させる有機的な形のガラスを吹くことが増えた。八瀬の里山が、幼少期を過ごした信州の自然豊かな原風景を呼び起こすのだろうか。
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祇園と八瀬。気配の異なるその両方の「美」を兼ね備えていることこそが京都の魅力。佐藤さんの創作も、自由と型との間を、楽しみながら往来している。
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【Shopping Info】
PONTE
所在地 京都市東山区祇園町南側570-210 ZEN内
電話番号 075-746-2125
営業時間 11:30~18:00
定休日 月・火曜
http://ponte-kyoto.com/
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佐藤 聡(さとうさとし)
1965年長野県生まれ、京都府育ち。富山ガラス造形研究所にてガラス造形を学び、ステンドグラス制作会社やドイツのガラス工房での作品制作を経て、京都・山科にてガラス工房を設立、2020年に八瀬に移転。
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Feature
京都に魅せられ
創造の翼を広げる作り手たち
Text=Maki Takahashi
Photographs=Masuhiro Machida