ニューノーマルがうたわれる現在、旅のかたちも大きく変容しつつある。大量生産・大量消費の概念を抜け、よりプライベートでユニークな旅体験の世界へ――。
低速モビリティiino(イイノ)を提供する「ゲキダンイイノ」は時速5キロの完全自動運転のモビリティを活用し、日本各地の魅力を改めて読み解く旅を提案、これまで宇都宮、福島でその新しい旅のかたちを提供してきた。
今回は、昨年末に実施された「会津新晩餐」と題したツアーの様子をご紹介する。この新しい旅のキーワードは「新感覚ラグジュアリー」。これまでにない唯一無二の体験ツアーへご招待。
食事、宿、景勝はもちろん“移動体験”にまでこだわる旅
旅の舞台は福島県会津若松市。幕末の戊辰戦争の一つである会津戦争が行われた鶴ヶ城や、磐梯山や猪苗代湖といった豊かな自然が魅力の歴史と自然に満ちた土地だ。
「会津新晩餐」のテーマは会津地域全体の魅力を届けること。1泊2日の旅体験の中に、上質な食事、宿、見事な景勝地が組み込まれていることはもちろん、そこに至る移動までもが「質」を重視され、構成されている。
さらに、ツアーへの参加は1日1組2名限定。より深く会津の魅力を伝えるために、細部にまで丁寧な演出を施すよう配慮されているのだ。
まずは会津のシンボル、磐梯山へ
旅の出発地点、郡山駅からハイヤーに乗ってまず向かうのは「つちや農園」の倉庫。猪苗代湖のほとり、磐梯山を眺めていると、ポツンと佇む農作業小屋へ案内される。
小屋の中には綺麗に設えたお茶の席が。聞くと、夕餉の食材を作っている農家さんの作業小屋だという。戸惑いながらも席に座りお茶を飲んでいると小屋のシャッターが開く。
すると目の前には雄大な磐梯山の風景が。シャッターで区切られたその光景はまるで一枚の絵画のよう。日本庭園のようなアプローチだが、これほどダイナミズムを感じたのは初めてのこと。会津に住み、会津の味を育む生産者は雄大な自然とともに生きているのだと、思わず惹きこまれる。
文=CREA編集部
撮影=山元茂樹