行くなら、今でしょ！
ホーチミン市の神出鬼没バーベキュー

人気の超・簡易店舗の秘密とは？

厨房もカウンターをつけただけのオープンキッチン

 実はこのレストラン、建設ラッシュに沸くホーチミンに無数に余っている空き地を利用したもので、ビルなどの建設が中止や延期となった土地を借り受け、即席で店舗にしているのです。そのため一定期間は営業をしているものの、建設が再開されたり、新たな契約が結ばれたりすると、ほかの空き地に移動する、まさに遊牧民的スタイル。だからこそ素早く作れて即座に撤収できるお店の作りになっているというわけです。

「食べたり飲んだりするときは気軽に楽しめないと」とマネージャーのトゥアンさん

 まったくもって簡素そのものなお店ですが、作り込まれた高級レストランが日々増えているこの街だけに、屋台風の雰囲気が逆に気軽で新しいと連日大にぎわい。さらに「人気があって屋外に最適な食べものといえばバーベキューでしょ！」という料理セレクトも見事にはまり、営業は夕方以降のみながら、19時を過ぎるとほぼ満員となってしまう盛況ぶりです。

 おしゃれスポットとは対極に位置するこのお店、「やってくるのはおじさんばかり？」と思いきや、店内には若い男女のグループもいっぱい。「モッ・ハイ・バー・ヨー！ (1、2、３、乾杯！)」と、焼き肉を肴にぐびぐびっとビールをあおる光景が夜中まで続きます。現在は市内中心部に数店舗ありますが、いつまで同じところにあるかは地主さん次第の、期間限定の移動型青空レストラン。もし見つけたら、そこにあるうちにぜひ地元の人々にまざって、熱気に満ちた南国の夜をお楽しみあれ！

text:Noriaki Sugita