アジアでありながらオシャレでちょっぴりフレンチな雰囲気が魅力の“東洋のパリ”、ホーチミン市。しかし騒々しくて活気にあふれたディープなベトナムを体験するならやっぱりチョロンがいちばんです。多くの華僑が移り住んでできたチョロンだけに、ホーチミン市の5区、6区周辺に広がるこの地域には、漢字を掲げたお店がずらり。そこで今回は東南アジア有数のチャイナタウンであるチョロンの見どころをご紹介します。
右:建築も必見。中庭を配した四合院の造り、屋根や壁面を飾る龍の意匠など、当時の華人の財力と影響力を感じさせます
「チョ(Cho)=市場、ロン(Lon)=大きい」。ベトナム語で「大きな市場」を意味するこの街の顔とも言えるのがビンタイ市場。20世紀初頭に大富豪クアック・ダムが沼地を開墾して作ったといわれ、市場中央の広場には彼の名を刻んだ石碑が建てられています。市場内には衣類、金物、食料品、生活雑貨など多種多様なお店が並び、その大半が卸売り問屋さん。巨大な段ボール箱をかついで狭い通路を行き来する業者さんなど、地元の人々の素の生活が見られます。
またチョロンには、ほかにもカラフルな布地が並ぶ布市場のソアイキンラム市場、生鮮食品のサータイ市場など多くの市場があり、特にサータイ市場はマルグリット・デュラス原作の映画「ラマン」で少女と中国人青年が情事を重ねた家のロケ地にもなっています。
text:Noriaki Sugita