何度も声をかけて、防災への意識を身近にしていく

――「やらなくては」と考えながらも日常の中でおざなりになってしまいがちな防災への準備。紗栄子さんが実践している災害への意識付けの習慣があったら教えてください。

 私自身は凄く心配性というか、何か起きた時に「自分ひとりで生きていけるか?」って考えた時に「絶対無理、死んじゃいそう」って思うタイプなので自然に準備をする体質なんです(笑)。

 でもみんなが必ずしもそうではない。ぼんやりと根拠のない安心を持っている人も多いですよね。「ウチの家は大丈夫」みたいな。私のおじいちゃんとかおばあちゃんもそうなんです。うっとうしいと思われるかもしれないけど「そんなことないよ、ちゃんと準備した方がいいよ」って何度も何度も声をかけるようにしています。

――防災への意識を身近にしていくということですね。

 大きな災害が起きた時というのは誰しも意識するんです。でも大切なのはいつもの日常。災害は日常と地続きで起きてしまうもので、いつ何時自分に訪れるかもわからないもの。どこか遠くのものに感じがちですが、決してそうじゃない。

 一般の方に対しても一緒で、徐々に空気感を作っていくしかないのかなって。意識を持った人がひとりでも増えてくれれば、そのひとりがまた次のひとりを生み出してくれる。そう思って、積極的に声をあげていくようにしています。

防災グッズを自分の大切な人に贈る

 きっと、誰しも大切な人がいると思うので、まずはそこから意識を広げていってもらえると嬉しいですね。

 そのために、例えばご両親や祖父母へのプレゼントに防災バッグをプレゼントするというのは凄くいいんじゃないかな。誕生日とか敬老の日とか。いつまでも健やかにいて欲しいという思いも伝えることができるし、防災の気づきにもつながる。

 9月1日(水)から表参道ヒルズ1階の「I Z A with FRIENDS」のポップストアで、私が今運営している「NASU FARM VILLAGE」のカフェを営業しているのですが、そこで普段使いのバッグにも入れておける「Think The DAYオリジナル簡易防災セット」を特別に販売しています。巾着の中には、ロールオンのラベンダーのCBDオイルや、除菌ハンドスプレー、2〜3回分の携帯用非常用トイレや、暖を取ったり着替え時にも役に立つレスキューシートが入っています。

 こういう防災セットだと、バッグの中や職場の机、車の中とか、普段の生活範囲に何個か置いておくことができるので、ちょっとしたギフトにも良いですよね。自宅にいる時に被災するとは限らないですし、人口の多い都会では携帯用トイレは被災時には必需品ですから。

――今回のこの防災セットも防災バッグと同様に、利益は全額支援活動につながるんですね。

 そうです。共感してくれた人が、これを選んでくださって、その人自身やその人の大切な人が被災した時に生き抜く力になってくれたら、それは大きな支援のかたちになる。

 その上で、皆さんが寄付して下さったお金を資金として、何かあった時の支援物資や炊き出しに使わせていただくという、持続可能な循環が生まれていけばと考えています。

 少しずつかもしれないけど、そんな風に“防災の輪”を広げていきたいですね。

I Z A with FRIENDS

会期 2021年9月1日(水)~2022年1月4日(火)
営業時間 11:00~20:00(表参道ヒルズの営業時間に準ずる)
開催場所 東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ 本館1階
※「Think The DAYオリジナル簡易防災セット」は9月下旬よりThink The DAYオンラインストアでも予約販売開始されます。

紗栄子(さえこ)

1986年に宮崎県で生まれる。二児の母。14歳で芸能界デビューし、タレントや女優、モデルとして活躍。10代の頃から商品開発に携わり、ファッションやコスメを中心にさまざまなブランドプロデュースを手掛ける。2010年より支援活動を始め、2019年10月に一般社団法人Think The DAYを設立、代表理事を務める。2020年8月より拠点を栃木県に移し、「NASU FARM VILLAGE」の運営に参画。
http://thinktheday.org/

2021.09.13(月)
文=CREA編集部
撮影=平松市聖