星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」。2021年1月にオープンしたブランドの17施設目となる「界 霧島」は、天孫降臨の神話が残る高千穂峰の中腹に位置し、霧島錦江湾(きんこうわん)国立公園内に建つ湯宿です。

 前篇では温泉、食事のトピックス、界ブランドの注目ポイントを、次回後篇では「界 霧島」ならではのアクティビティと霧島の立ち寄りスポットをご紹介します!


すすき野原に佇む趣ある湯浴み小屋
硫黄泉に浸かり心ゆくまでリラックス

 「界 霧島」の10万平方メートル以上の広大な敷地には、5階建ての客室棟と2階建てのパブリック棟、大浴場(湯浴み小屋)などがあり、客室棟から湯浴み小屋へはスロープカーに数分乗っていくユニークなつくり。

 全49室の客室はすべて、霧島の全景を望むパノラマビューで、地域の伝統工芸をモダンに取り入れたインテリアが魅力です。鹿児島の旬の素材を活かした会席料理や、アクティビティも充実。1泊2日の滞在でも十分に満足できる旅が実現します。

 標高約600メートルの傾斜地に建つこの宿のお風呂は、ちょっとユニーク。客室棟からスロープカーで50メートルほど下ったところに、大浴場の「湯浴み小屋」があります。

 内風呂で体を温め、露天風呂のスペースに移ると、そこは絶景の特等席。あたりは一面すすき野原で、原初の風景もかくやという風情。湯船に体を沈めると、草原の向こうにそびえる桜島が錦江湾に浮かんでいるように見え、火山のエネルギーを間近に感じます。

 夕暮れ時のマジックアワー、満天の星空や月夜、日の出の時間も神秘的で、自分がだんだん無になっていく感覚。肌ざわりの柔らかな湯は、霧島ならではの硫黄泉。マイルドなピーリング作用があり、透明感のある明るい肌をもたらすと評判です。

 温泉に浸かってお湯を心ゆくまで堪能し、湯上がり処やビューテラスでゆっくりとくつろぎ、汗もすっかりひいたところで、お楽しみの夕食です。

2021.06.02(水)
文=伊藤由起
撮影=鈴木 七絵