各地ではコロナウィルスによる感染の波が猛威を振るい続けている。ようやく新しいルールが日常となり、今できる範囲で楽しむ術を見出してきたものの、この先は?
いつだって皆の休暇を請け負ってきたハワイが経験した2度のロックダウンから学んだ新しい楽園の姿とは。
長いヴァケーションから戻ったハワイを見てほしい
毎週土曜の朝に開催されるカカアコ・ファーマーズマーケット。この日を楽しみにする住民は多く、ソーシャルディスタンスを保ってマーケットを巡る。
やっと取り戻した日常を大切に思う人々の必須アイテムは手作りマスクとエコバッグだ。
人が集まる所へもルールを守れば出かけられるんだ、ということを皆が身をもって体験し、実践する。
物価の高いハワイでは親子3世代で住む家族も少なくない。洋裁の得意な祖母が作るアロハ柄マスクをつけて母と子が新鮮な野菜を買いに来るのだ。家族で思いもうける、だからマスク着用も悪くない。
元は30店舗ほどの小さなマーケットだったが、営業再開ができていない観光客向けレストランの出店を受け入れ、失業をきっかけに起業した新しい業者を支援し、現在95店舗にまで増え、敷地は倍以上になっている。
ダイヤモンドヘッドを一望できる人気のレストラン、53 by The Seaやディーン&デルーカなどがマーケット限定のメニューを考案し、地元に根差した展開を図り、住民は喜んで応援をする。
半年前までディーン&デルーカのエコバッグに行列していたのは日本人観光客だったが、現在は角型食パンを求めてローカルが行列に並ぶ。ふわふわで美味しいと大評判なのだ。
本職への復帰を待つ間、趣味の石鹸作りに重点を置き、マーケットへ出店しているのはマラマ・ソープスのキアラさん。
「ハンドメイドの石鹸作りは時間がかかるから今がちょうどいいんです」
笑顔で今ある時間と向き合う。ほっこりポジティブな姿が眩しい。
Text=Maya Kudo
Photographs=Akira Kumagai