ロケ現場では佐藤監督の人柄、信頼感に包まれていた

――地方都市のモヤモヤも描かれています。秋田で過ごしてみて、いかがでしたか?

 秋田で約1か月、集中的に撮影をしに行ったんですけども、すごくゆとりのあるスケジュールで撮影を行えたんです。これくらいの規模の映画では、ほぼあり得ないんですが、それを可能にしてくれたのは、佐藤監督の素晴らしい脚本と人柄のおかげが大きくて。

 「佐藤監督を応援する会」というのが秋田で発足していて、秋田のみなさんがこの映画に力を注いでくれていて。だから出来ないことがない(笑)。盤石の態勢だったんですが、それはスタッフが何年も何年も秋田に通って地ならしをしてくれたおかげでもあり。こんなに良い環境で撮影ができて、表現ができたというのは、本当にありがたいし、奇跡的だなと思いました。

――柳葉敏郎さんは秋田出身で、今、あちらにお住まいでもありますね。

 一緒の撮影は数日でしたけど、久々に色々とお話しできました。共演は3回目ですが、今回みたいにがっつり組むというのは初めてで。それも僕が主演の映画で、柳葉さんが父親がわりの役で共演するというのはとても感慨深かったですし、柳葉さんも僕以上に感慨を持ってくださっていたようでした。

――太賀さんのお父さん(俳優の中野英雄さん)と、柳葉さんは同じ劇団(劇男一世風靡)出身でしたね。

 そうなんです。だから僕は小さい頃から柳葉さんのことを知っているし、そういう縁がこの映画にはあって。

 僕と佐藤監督との縁も監督の短編映画『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』(16)からですし、監督と柳葉さんとが秋田出身という縁もありますし。いろんな縁があったなあ、と。

 母親役の余貴美子さんとも、僕は3回くらい親子役をやっていて、この映画には強い縁を感じましたね。

2020.11.21(土)
文=石津文子
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=高橋将氣
スタイリスト=石井 大