開拓の時代より大いなる自然に立ち向かってきた北海道の人々が人の手による「庭」を創る時、それは伸び伸びとおおらかで、土地の歴史やそれ以前からその地に息づく生命の連続を今に紡いでいるかのようだ。
北の大地に抱かれる北海道の庭は、みなぎる生命の歓びに溢れている。おすすめの庭園や美術館などの施設を8つ紹介。
英国風ガーデンから学び北国ならではの“北海道ガーデン”へ
◆上野ファーム
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真夜中にこっそり庭仕事をするといわれる妖精、ノームの住処を池の中に配し、木々と野草、華やかな花が交ざり合う風景に心が和む「ノームの庭」。
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鏡に映る花々のように左右対称に植栽された「ミラーボーダー」。
紫の花のグラデーションに目を見張る小道「パープルウォーク」。
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色彩や香り、時には庭を抜ける風の音で庭を楽しませてくれる上野ファームでのひと時は、ガーデナーのイマジネーションの深さを感じさせずには置かない。
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北海道屈指の女性ガーデナー、上野砂由紀さん一家が営む上野ファームは、古くから米の産地として知られる旭川に。
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高祖父が開拓者として入植し、近年まで代々米農家を営んできた。その米農家に最初に花が植えられたのは、米の自由化政策が始まった80年代末。
個人への直接販売が可能になり「ここまで買いに来て下さるお客様にせめてもと、父が田んぼのあぜ道にポピーやルピナスを植えたんです」と上野さん。
中央:エキナセア、シダルセア。
右:アスパラガスの実とワイルドキャロットの花。
それをきっかけにセロリ畑の中に道を作りハーブを植えたり、徐々に花は増え、上野家のオープンガーデンに自由に人が遊びに来るようになったと言う。
当時メディアで話題になった英国風ガーデンに憧れたお母様も庭造りに熱中。
「稲刈りが終わってから農閑期に家族総出で庭仕事をしていました」と笑う。
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その後、イギリス留学で庭造りを学んだ上野さんが作る庭も加わり、稲作を続けながら増え続ける庭見学者への対応がままならなくなった2008年、米の生産を辞め、現在の形の上野ファームが始動した。
「初めは英国風ガーデンをお手本に。でも今は、北国の気候、風土だからこそ育ち、開花期も特殊だから表現できる“北海道ガーデン”でお客様を楽しませたいです」
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上野ファーム
所在地 北海道旭川市永山町16-186
電話番号 0166-47-8741
営業時間 10:00~17:00
入場料 1,000円
定休日 無休
http://www.uenofarm.net/
※2020年年内は10月18日(日)まで、2021年は4月24日(土)~。
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Feature
大地の鼓動に抱かれる
北海道ガーデン紀行へ
Text=Chiyo Sagae
Photographs=Asami Enomoto