街の中心部であっても、住宅エリアへ移動しても、そこかしこにバールが存在するイタリア。だが、アペリティフ・タイムを除けば、イタリア人がテーブルについてお茶を楽しむのは稀なこと。友人といっしょでもカウンターで立ち飲み&立ち話が主流。バールは数あれど、そこそこの雰囲気があってひと休みするのに適した「落ち着けるバール」は意外と少ないのである(日本のように気軽に立寄れるスタバやドトールもないし……)。

左:19世紀から現代までの国内外の作品が展示されている国立近代美術館はボルゲーゼ公園の北側
右:ストーブのあるガーデンエリア。天気のいい日は冬場でも屋外を好むロマーノたち

 逆に知ってさえいればローマだからこその優雅なティータイムを堪能することも可能だ。パニーノやサラダなどのライトミールが取れるから小腹が空いたときも便利に活用できる。たとえ観光やショッピングの合間の休憩であっても通りすがりの店で妥協などせずに、異国の地をしっかりと楽しむためにも、まずは主要なエリアのカフェテリアをいくつか押さえておこう。

カピトリーノのカフェのウリはローマの街並みが見渡せる300平米のテラス。テラス席でもお茶が楽しめる

 さて、ここで紹介するのはすべてミュージアム・カフェである。展示作品を鑑賞してからカフェへ流れてもよいし、時間がなければカフェだけの利用もOKだ。通常、カフェの入口は美術館のエントランスとは別に設けられているので、直接、店にアクセスするなら入場料を支払う必要はない。美しく壮大な建造物といった美術館ならではの空気を肌で感じつつ、お茶だけで退散するのも観光地巡りのひとつの方法だ。

<次のページ> 4つのミュージアム・カフェをご紹介

text&photographs:Yukie Muramoto