耳野郎の最後のシーンには「ああ、幸せになってよかった」って

――「愛の不時着」はキム・ヨンミンさんの俳優人生においてどんな作品となったのでしょうか?

「これほど視聴者の方に愛された作品は初めてで、役者人生の中で、こんな作品に一度巡り会えるかどうか……。『愛の不時着』に出演できたことは俳優として大きな幸運だったと思っています」

――最後に、「愛の不時着」の中でご自身が好きなシーンはどこでしょう?

 「セリとジョンヒョクが平壌に向かう途中で汽車が停電し、汽車から降りてふたり並んで座るシーン。そして、合成して使ったのかと言われたほど壮大なスイスの山間のシーンでしょうか。

 あとは、やはり、耳野郎の最後のシーン。盗聴から離れ、映画撮影所で音を拾っているシーンで、ああ、幸せになってよかったって本当に思いました。

 このシーンは、台本には“『春の日は過ぎゆく』(2001年、韓国映画)のイメージ”と描写されていました。私のカカオトークの写真はこの音を拾っている耳野郎の後ろ姿です」

菅野朋子(かんの ともこ)

1963年生まれ。ソウル在住。出版社、「週刊文春」 記者を経てフリーに。 著書に『ソニーはなぜサムスンに抜かれたのか』『 好きになってはいけない国。』(共に文藝春秋刊)、『 韓国窃盗ビジネスを追え 狙われる日本の「国宝」』(新潮社刊)など。

※こちらの記事は、2020年6月14日(日)に公開されたものです。

記事提供:文春オンライン

2020.07.11(土)
文=菅野朋子
写真=Junwoo Cho