「食事に介助を必要とする人・介助する人」は要注意

 「病院や介護施設でのクラスター感染が増えていますが、中でも“食事の場”を介して感染が広がっている可能性が指摘されているのです」

 と語るのは、東京都保健医療公社荏原病院耳鼻咽喉科医長の木村百合香医師。

 同医師によると、食事の場が一緒だったり、介護職員による食事介助などを通じて感染したと見られる症例が散見されるようになってきたというのだ。

 介護施設で「食事の場」が一緒になるのは分かるが、病院での食事はそれぞれの病床でとることが多い。

 個室でなくても、食事の時はカーテンなどで遮蔽するので、感染は起きにくいような気もするのだが……。

 「高齢者が中心の場合、たとえ急性期病院でもデイルームで食事をとるところもあります。

 また食事介助が必要な人はもちろん、認知症などで“食べ物を詰め込み窒息や誤嚥を起こすリスク”がある患者さんなどは、看護師などが声をかけながら見守るケースもあります」(木村医師、以下同)

 こうしたシーンでむせたりすると、微細な液体あるいは固体の粒子であるエアロゾルが発生する。

 もしその人が感染者だと、ウイルスを含むエアロゾルが近辺に漂うことがある。

 この状況を受けて日本嚥下医学会では、嚥下障害が疑われる患者への食事介助において、新型コロナウイルスへの感染の有無に関係なく、次の注意を呼び掛けている。

■集団での食事は可能な限り回避し、それが困難な場合は「座席の間隔をあける」「食事時間をずらす」「対面を避ける」などの措置をとる

■患者からの飛沫とエアロゾルの発生と、お互いの接触を最小限とするため、摂取方法を検討したうえで介助は「側方」から行い、食事中の会話も最低限とする

■摂食の時間は患者の疲労度に合わせて長くても30分を限度とする

 ――など。

 しかし、これは「食事に介助を必要とする人」に限ったことではない。

 ここに来て家庭内感染が増加していることは周知のとおり。家庭内で特に危険なのが「食事の場」だと木村医師は警鐘を鳴らす。

2020.05.16(土)
文=長田 昭二