4. 世代別で感染者が多いのは?

 WHO(世界保健機関)によると、1月22日までに中国から提出された約290人のデータでは、患者の72%は40歳を超えていた。

 日本内科学会によれば、「症例の年齢は50歳代から60歳代が多い」「重症例において有意に年齢が高く、基礎疾患を有する割合が高い」としている。

 2月17日、中国伝染病予防・管理センター(CCDC)が発表した調査では10歳未満の死亡者はゼロのため致死率は表記なし。

 10代・20代・30代の致死率は0.2%、40代の致死率は0.4%、50代は1.3%、60代は3.6%、70代の致死率は8%、80歳以上は14.8%と報告されている。なぜ高齢者の致死率が高いのか。

 医療関係者によれば、歳を取れば免疫力が低下する。加えて糖尿病やがん、血液疾患などの疾病歴があれば、体力も落ちるため重症化リスクは高まるのだという。

5. 子どもはかかりにくいのか?

 WHOが1月27日に発表した調査結果では、中国以外の患者の年齢は2歳から74歳までと幅がある。当初は若年層、特に子どもの感染者は少なく、症状が軽いとされてきた。

 だが、2月21日に北海道で小学生2人が罹患。中国の研究チームは医学誌「ランセット」に肺炎などを発症しない感染者が見つかったと発表したが、それが10歳の子どもだった。

 昨年12月に武漢市に家族旅行して感染。大人5人は発熱や咳、下痢などの症状があったが、子どもには症状がなかったという。

「子どもが罹りにくいのは確かだが、理由は不明。02年から03年にかけてのSARSの時も子どもにはほとんど感染せず、感染しても軽症でした」(山野美容芸術短大客員教授・中原英臣氏)

 こんな懸念もある。

「現地中国人医師の報告では、肺炎があるものの自覚症状のない『ウォーキング・ニューモニア(歩く肺炎)』と呼ぶべき子どもがいて、感染を広げる原因となった可能性が指摘されています」(前出・高山医師)

2020.03.27(金)
文=「週刊文春ムック」編集部