世界中から駆けつけた240人の料理人たち。オテル・ド・パリ正面カジノ広場にて

 先の11月16日から3日間に渡って、フランス料理の牽引者アラン・デュカス氏が、モナコ公国にあるホテル“オテル・ド・パリ”内、本拠地であるレストラン“ルイ・キャーンズ”が四半世紀の25周年を迎えたのを記念して、パーティを催しました。世界25カ国から240人のシェフが集まるという稀に見る盛大さで(ミシュランの星の数は総計300だそう)、我が国からは、“カミーユ”の上柿元勝さん、“かんだ”の神田裕行さん、“青柳”の小山裕久さん、“オテル・ドゥ・ミクニ”の三國清三さん、“モリエール”の中道博さん、“祇園 さヽ木”の佐々木浩さんの6人が参加しました。もちろん、そろって1つ星のフランスで活躍する、ニースの松嶋啓介さん、パリの小林圭さん、オーストラリアからは和久田哲也さんも駆けつけていました。

ジョエル・ロブション氏、ギー・サヴォワ氏、アンヌ=ソフィ・ピック女史、“ノマ”レネ・レゼッピ氏の姿も見える

 アラン・デュカス氏は1987年、31歳のときに“ルイ・キャーンズ”の料理長として招聘されましたが、1990年、33カ月目というスピードで、ミシュランの3ツ星を獲得したことは、伝説のように語られています。デュカス氏が33歳の時で、当時は最年少の3ツ星獲得という3にまつわる快挙でした。それから世界中に、フランス料理のフィロソフィーを根づかせ、デュカス王国を築いてきた躍進には、目を見張るばかりです。デュカス氏の動きを、ビジネス展開と捉えて、否定的に語る人もいますが、フランス料理を構築的にして、後世に伝えていくという使命が強いヴィジョンとしてあることを鑑みて眺めると、フランスにはこういう人物がいるから、歴史や文化が守られるのだと、感心します。そんなわけで、熱い想い出を胸に集まった240人が旧交を温めている様子は、まるで同窓会のように和やかでした。

モナコ大公アルベール2世が、ガラを祝って演説。シャルレーヌ妃、デュカス夫人、三國清三氏などが着席

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text:Aya Ito