真似じゃないところから
やってるのがいい

──マコイチくんが俳優としての光石さんを知ったのはいつ?

高橋 大学時代の後輩でEnjoy Music Clubっていうヒップホップ・ユニットがいるんですけど、彼らの下宿に思い出野郎のドラムの岡島(良樹)と一緒によく溜まってたんですよ。

 そのころ園子温さんが監督した映画『紀子の食卓』(2006年)を夜中に見てて、そこに光石さんが出演されてるのとかを普通に見てました。

光石 まだ僕がとんがってるころね。危ない役やってました(笑)

──タワーレコードの下から上まで試聴して回られるというお話ですけど、やはりお好きなラインというのはありますよね。かなりのソウル・ミュージック好きだと伺ってますが。

光石 ソウルっぽいやつとか、シティ・ポップ系とかが好きですね。ハードロックとかは昔からあんまり聴いてなかったです。

高橋 僕らはソウル好きの人から言わせると邪道というか亜流に映っちゃうのかも、って思いがずっとあったんです。だから光石さんみたいにちゃんとソウルを聴かれてる方が反応してくれて、すごく驚いたし、うれしかったですね。

光石 いや、僕らの世代がソウルをバンドでやるとなると、アフロのヅラを被ったり、すぐコンポラ着てとか、ダンサーも付けてとかね、それっぽさに走りがちになるんですよ(笑)。なぞるというかね。

 でも、思い出野郎みたいな今の人たちはちゃんと今風に消化して出してるって感じがしたんですよ。何かの真似じゃないところからちゃんとやってるのがいいと思いました。

高橋 まさにバンドを結成したときから、そういうことはしないというコンセプトだったんです。

 真似しても絶対に越えられないし、本場の人たちに勝つなんて無理だから、自分たちなりに違う感じを出そうと言って始めたので、光石さんにそういう風に言ってもらえて、あらためてめちゃくちゃうれしいです。

2019.11.06(水)
構成・文=松永良平
撮影=佐藤 亘