ビニール素材の服を着た女優のラクウェル・ウェルチ。Raquel Welch in a Pierre Cardin outfit featuring a miniskirt and necklace in blue vinyl, worn with a Plexiglas visor, 1970. Image courtesy of Iconic Images.©Terry O’Neill / Iconic Images.

 「ピエール・カルダン:未来のファッション」展が、ブルックリン美術館で開催されています。

 これはカルダンの50年にもおよぶキャリアを回顧するという大がかりなもの。

 カルダンを代表する60年代、70年代、80年代のファッションを中心に、インダストリアルデザインも網羅しています。

女優ローレン・バコールと、「Bacall and the Boys」のセットで。Pierre Cardin and Lauren Bacall with models on the set of Bacall and the Boys, 1968. (Photo: Yoshi Takata. Courtesy of Archives Pierre Cardin.©Archives Pierre Cardin)

 カルダンは1922年生まれ、10代からテーラーとしての修業を始め、パリに出てから1946年にクリスチャン・ディオールのメゾン立ちあげに参加しました。

 そして1950年に自身のブランドをスタート。コスチュームデザインから始まり、オートクチュールに進みました。

ピエール・カルダン本人のクチュール・サロンにて。Pierre Cardin in his couture salon, 1952.(Photo: Courtesy of Archives Pierre Cardin. ©Archives Pierre Cardin)

 カルダンは未来的な形やモチーフを好み、それまでの「女性らしい」ファッションの概念を打ち破ったといえます。

 布を建築的なセンスをもって立体的に形づくっていくカルダンのデザインは、幾何学模様と共に彼のシグネチャーになりました。

青いベストを着たモデル。Model wearing Pierre Cardin blue wool vest with leather details, 1992. (Photo: Courtesy of Archives Pierre Cardin. ©Archives Pierre Cardin)
ビニール製アイウエア。Pierre Cardin vinyl eyewear, 1970.(Photo: Courtesy of Archives Pierre Cardin. ©Archives Pierre Cardin)

 なかでも有名なのは、1964年に発表した「コスモコール(宇宙)」コレクション。世界をあっと驚かせたデザインで、カルダンの代表作です。

 ビニールやメタリックな布などそれまでにない素材使い、巨大なジッパー、宇宙飛行士のヘルメットのような帽子などが斬新です。

「コスモコール」スーツと「ポートホール(舷窓)」ドレス。Pierre Cardin "Cosmocorps" suits and "Porthole" dresses, 1968. (Photo: Yoshi Takata. Courtesy of Archives Pierre Cardin. ©Archives Pierre Cardin)

 時代の寵児であったカルダンは、ブリジット・バルドーやローレン・バコール、ジャクリーヌ・オナシス、ラクウェル・ウェルチなど、当時のセレブから愛されました。

ショーを見るローレン・バコールやアラン・ドロン。Lauren Bacall, Leslie Bogart, and Alain Delon at Pierre Cardin's Fall 1968 fashion show. (Photo: Courtesy of Archives Pierre Cardin.©Archives Pierre Cardin)

 常に新しいテクノロジーと未来に魅せられていたカルダンは、1971年にはNASAを訪れて、市民としては初めてアポロ11号で着用された宇宙服を身にまといました。

アポロ11号で着用された宇宙服を着たカルダン。Pierre Cardin wearing Apollo 11 space suit, 1969. (Photo: Courtesy of Archives Pierre Cardin. ©Archives Pierre Cardin)

文=黒部エリ