16世紀末、エドワード・カルペパーによって建てられた邸宅。屋内も一部見学できます。

広大なガーデンでは
美しい花々を利用して養蜂も

 西ロンドンにある王立植物園、キュー・ガーデンは、観光客の間でも人気のスポット。しかし、ロンドン郊外のウェスト・サセックスに、キュー・ガーデンの分園「ウェイクハースト」があることは、あまり知られていません。

 ロンドンから電車とバスでわずか1時間、日帰りエクスカーションにもぴったりの植物園、ウェイクハーストは、キュー・ガーデン(約132ヘクタール)を遥かに上回る約190ヘクタールという広大さ。

 そのなかに、16世紀に建てられた邸宅と庭園、そして森や湖などがあり、まる一日散策を楽しめる場所です。

 1903年にこの場所を買い取ったジェラルド・ローダー(後のウェイクハースト卿)が、33年間の時間を費やして庭園を発展させたのですが、ちょうどその頃の英国の上流階級では、海外の珍しい植物を収集することが一種の流行だったため、四大陸の植物が集められたことは自然な流れだったのかもしれません。

 ウェイクハーストは、その後、植物学に大いに貢献した事業家ヘンリー・プライスの手を経て、ナショナル・トラストに寄贈されましたが、1965年に王立植物園が100年間のリース契約をしたため、現在はキューガーデンの分園という位置づけになっています。

 ロンドンに比べて、降雨量が多いこと、空気が清浄で、土壌が肥沃で酸性寄りであることなどから、キューガーデンとは違う木を育てることができるのだそうです。

 前述のとおり、ウェイクハーストはとにかく広いのですが、ぜひ押さえておきたい必見ポイントをご紹介しましょう。

ウォールド・ガーデンは絵の具のパレットのようにカラフルです。

 まず、邸宅のすぐ隣にある「ウォールド・ガーデン」。特に初夏から夏の間は、紫陽花やバラ、ラベンダーなどの花が満開となり、さまざまな色を楽しむことができます。

 ところどころにベンチが置かれているので、一休みするのにも最適です。ボランティアガイドさんによると、ここに座って、何時間もおしゃべりだけして帰る人もいるのだとか。

季節の花を観賞できるヴォールド・ガーデン。ほぼすべての植物にタグがついているので、それぞれの花の名前も学べます。

 また、邸宅の裏側にあるかつての馬小屋は、現在「ステーブルズ・レストラン」として、食事やスイーツを提供しています。「レッドウッズ」というカフェも併設されていて、こちらでもサンドイッチなどを買うことができます。

邸宅の裏側の元馬小屋には、「ステーブルズ・レストラン」とカフェ「レッドウッズ」が併設されています。お天気のよい日は外でお茶をすることももちろん可能。ただし、通りすがりのロビン(コマドリ)がケーキのかけらを狙っていたりするのでご用心。

 養蜂をしている「ポリネーション・ガーデン」では、意図的にミツバチが集まる植物を群生させています。

 「Bee Careful!」と書かれた立て看板によると、強い香水のにおいや音に反応して、特に夏の暑くて乾燥している日にはハチが攻撃的になることもあるのでご用心、とのこと。

「ポリネーション・ガーデン」は、ミツバチが好むワイルドフラワーがいっぱい。ここで養蜂を行っています。

 でも、ワイルドフラワーが群生する風景は美しく、(ミツバチの邪魔をしないように気をつけつつ)見学する価値あり、です。

文・撮影=安田和代(KRess Europe)