歴史的に世界の至宝をほしいままにしてきた英国には主要ミュージアムが数多く点在している。しかしその一方で独自の視点で蒐集された個人コレクションにしかないお宝も、また、あるのだ。


極上の名画を蒐集したのは
あのビールメーカーの一族

●Kenwood House
(ケンウッド・ハウス)

 北ロンドンの広大な公園ハムステッド・ヒースの北端に位置するこの邸宅は、どの地下鉄駅からも歩くにはやや遠いかもしれない。

 でも、バスを利用して、または緑の中を30分間歩いてでも、足を運ぶ価値のある美術品を備えている。

 現在のケンウッド・ハウスは、1700年ごろに建てられた家を1764年から10年の歳月を費やし、初代マンズフィールド伯爵の命を受けたスコットランド人建築家、ロバート・アダムが新古典主義様式に改築したもの。

 特にグランドフロアにあるライブラリーの半円形に張り出した天井は、アダムのイタリアでの滞在と、古代建築への関心から着想を得たもので、彼が手がけた建築のなかでも最高の秀作であるといわれる。

 所蔵品の一部であるレンブラント、フェルメール、フランス・ハルス、ターナー、レイノルズ、ゲインズバラをはじめとする63点に及ぶ名画は、1925年にケンウッド・ハウスを買い取った初代アイヴァ伯爵、エドワード・ギネスが残したコレクション。

 ギネスの名が示すとおり、アイヴァ伯はアイルランドのビール会社を営む一族の一員で、社長、会長も務めた。

 加えて、サフォーク伯によって蒐集されたヴァン・ダイクやウィリアム・ラーキンなどのコレクションも邸宅内に品良く収められ、見応えある美術館となっている。

 併設されたカフェレストラン「ブリュー・ハウス」では、朝食とランチ、そしてアフタヌーンティーも提供している。

Kenwood House
(ケンウッド・ハウス)

所在地 Hampstead Lane, Hampstead, London NW3 7JR
電話番号 020-8348-1286
開館時間 10:00~16:00(4月から10月 ~17:00)
休館日 無休
入館料 無料
https://www.english-heritage.org.uk/

Feature

名作がこっそり潜む
英国の邸宅美術館へ

Text=Kazuyo Yasuda(KRess Europe)
Photo=English Heritage
Cooperation=VisitBritain

この記事の掲載号

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