美しき水の都ヴェネツィア、ヴェネツィア湾の潟の上に築かれた水上都市です。そんな人工的に作られた浮き島に、実はぶどう畑があると言ったら驚かれるのではないでしょうか?
今回は、ヴェネツィアにひっそりとあるぶどう畑のお話です。
うち捨てられたぶどう畑
世界的にも有名な観光地ヴェネツィア、訪れたことがある方も多くいらっしゃると思います。実際にヴェネツィアを訪れたことがある方ならなおさら、「え? どこにぶどう畑なんかあった?」と思われることでしょう。
そのぶどう畑があるのは、ヴェネツィア本島のすぐそばにあるサン・ミケーレ島。
ここは、ナポレオン統治時代に、衛生上の理由から墓地をひとつにまとめるために作られた島です。
死者を弔うための教会と、墓地のみがある島なのです。
教会の食料をまかなうために作られた裏の畑の一角に、ぶどう畑も作られました。
しかし、時代の流れとともに教会を利用する人が減ったため、この教会は閉鎖されることとなります。暮らしていた修道士は去り、ぶどう畑のみが残されたのです。
そんな見捨てられたぶどう畑を放っておけないと、有志が集い、現在は彼らによって管理されています。
文・撮影=藤原亮子