自然を愛する平穏な島で
物語を紡ぐような滞在を

 バンクーバーから水上飛行機で約30分。手荷物ひとつでショートトリップを。

◆ Hastings House
(ヘイスティングス・ハウス)

左:ヨットが浮かぶ静かなガンジス湾。ルレ・エ・シャトーならではの豊かなステイが楽しめる。
右:森林浴も楽しめる美しい庭。

 水面を滑走しながら、コール・ハーバーを次々と飛び立っていく水上飛行機。小さな機体に乗り込み向かう先は、バンクーバーとビクトリアを隔てるジョージア海峡に200以上の島々が浮かぶガルフ諸島。そのなかでも最大の島が目的地のソルトスプリング島だ。

 都会的なバンクーバーとはうってかわって、中心地のガンジスは小さな田舎町といった様子。島に信号機は見当たらず、車で2時間も走ればぐるりと一周できるほどだ。道路沿いには鬱蒼とした森が広がり、畑や農場、民家はところどころで目にする程度だ。自然とオーガニックなスローライフを愛する人々がよどみなく暮らすこの島。人口は1万人ほどだが、訪れる観光客は年間50万人以上というから驚きだ。

オーシャンフロントの客室“マナーウエスト”。マホガニーのベッドに石造りの暖炉も。

 宿泊施設のなかで滞在すべきは、ガンジス湾岸に佇むカントリー・リゾート「ヘイスティングス・ハウス」だろう。1940年、イギリス人船艦設計師のウォレン・ヘイスティングスが11世紀伝統的なマナーハウスを建てたのが始まり。その後はクロス家、パークス家と所有者が変わりながら増築と改装を繰り返し、現在の姿にまで洗練された。石造りの家屋や古い木造の客室は趣深く、安息の時間を約束する。

 4~10月であれば、毎週土曜に開かれるサタデーマーケットへ。ワイナリーやビール醸造所、チーズ工房を巡ってみるのもいいだろう。日帰りも可能だが、ステイは2泊以上が理想だ。

左:アットホームなサービスも印象的。
右:朝食も自慢。2種類あるメニューのほか、スペシャルもあり。

 つかの間のショートトリップは、本物の豊かさを知ることになるだろう。

Hastings House
(ヘイスティングス・ハウス)

所在地 160 Upper Ganges Road, Salt Spring Island
電話番号 800-661-9255
客室数 18室
料金 プレミアルーム 415カナダドル~
http://www.hastingshouse.com/

【日本での問い合わせ先】
ルレ・エ・シャトー

電話番号 0800-888-3326

島の滋味を味わい尽くす

 “オーガニック・アイランド”とも呼ばれるソルトスプリング島は美味の宝庫だ。4~10月の毎週土曜に開催されるサタデーマーケットは有名で、バンクーバーやビクトリア、海外からもたくさんの人々が訪れる。

「ガリー・オークス・ワイナリー」

 ビオ・ワインで数々の受賞歴を誇る「ガリー・オークス・ワイナリー」や、自社農場のヤギのミルクを使った最高品質のチーズが評判の「ソルトスプリング・アイランド・チーズ・カンパニー」は要チェック。

「ソルトスプリング・アイランド・チーズ・カンパニー」

 また島内には有機素材を使ったクラフトビールの醸造所もあり、わざわざでも足を運ぶ価値ありの逸品ばかりだ。

Garry Oaks Winery
(ガリー・オークス・ワイナリー)

http://garryoakswinery.com/

Salt Spring Island Cheese Company
(ソルトスプリング・アイランド・チーズ・カンパニー)

http://saltspringcheese.com/

撮影=橋本 篤
取材・文=粂 真美子
コーディネイト=横田織部/pla-net inc.
地図制作=シーマップ
取材協力=カナダ観光局