バンクーバーは、世界で最も暮らしやすい都市だという。数日滞在しただけでも、その評価に納得するだろう。美しき海辺の都市は暮らすように旅したい。

自然と都市景観が隣接する
健やかな街で癒やしの旅を

陽光が降り注ぐ海上には白い船が美しく停泊する。

 ブリテュッシュ・コロンビア州南西部のバンクーバーは、太平洋に開かれた西のゲートシティだ。東京からのフライトは9時間ほど。日本に最も近いカナダには、素晴らしい旅に必要な条件がすべて整っているといっていい。

バンクーバー港のウォーターフロントに立つ最新ホテル「フェアモント パシフィックリム」から望む、心休まる夕焼け。

 海と山に囲まれながら都市の利便性もたやすく享受できるし、海流の影響で気候も温暖だ。驚くほど自然豊かなスタンレー・パークに、バラード入り江を望む半島の外周に沿って巡らされた全長22キロもの遊歩道、シーウォールは、サイクリングや散策が楽しめる憩いの場だ。街中に目を移せば、バンクーバー発祥の地ギャスタウンのような歴史漂う石畳の古い街並みや、ロハス志向の流行発信地キツラノだってある。

 車を30分ほど走らせると、トレイルやスキーができる山々にアクセスできアウトドア体験も思いのまま。その気になれば朝はサイクリング、日中にゴルフをして、午後はセーリングといったアクティビティを存分に満喫できる。

近くに島が多いバンクーバーでは港で水上飛行機の発着もよく見かける。

 ライフスタイルはオーガニックが主流で、海洋資源や自然環境に配慮した食材を使用するなど食への意識も高い。恵まれた環境で暮らしを謳歌するローカルたちが羨ましく思えてならない。とはいえ、多民族が暮らし合うこの街は旅行者にもフレンドリーだ。他愛ない会話を交わすだけで心地がいいし、自分が受け入れられたような気分になる。暮らすように旅することがその土地を知る近道であるなら、バンクーバーほど理解しやすくこれほど魅力的な都市はないだろう。

VANCOUVER(バンクーバー)
海と山に囲まれ気候も温暖。自然と共生する港湾都市には健康的なオーガニックライフが定着。ローカルのマインドで街や人に溶け込み暮らしを追体験するように滞在したい。
通貨 カナダドル(1カナダドル=約83円 ※2016年11月現在)
電話(国番号) +1

撮影=橋本 篤
取材・文=粂 真美子
コーディネイト=横田織部/pla-net inc.
地図制作=シーマップ
取材協力=カナダ観光局