夏になると太陽に恵まれ、海辺の街らしい陽気な空気にあふれるリマ。以前は、世界遺産の旧市街観光が旅の大きな目的だったが、ここ数年で状況は激変。今、リマといえば、とにかくグルメなのだ。美食家たちがこぞって賞賛する最先端の美味を体験しに出かけよう!

» 第1回 世界が最も注目する最先端キュイジーヌ
» 第3回 料理で国を変えた国民的英雄シェフの原点ダイニング
» 第4回 気取らない郷土料理を味わえるカジュアルレストラン

次なる美食トレンドといえば
断然“コミーダ・ニッケイ”

◆ Maido (まいど)

左:旬の海の幸をペルー風味で堪能する端正な“ニギリ”。この日は、プリプリのホタテとマテ貝が入荷。ブラックチリとマカのソースが魚介の意外な旨味を引き立てる。
右:ピリ辛でやみつきになりそうな“ウニごはん”。アボカドソースがたまらない。

 多くの日系人が暮らし、近年の経済発展で日本企業の駐在員も増えている首都リマ。正統派からフュージョンまで、様々なタイプの和食を味わえるこの街で、今、とにかく注目なのが“コミーダ・ニッケイ”だ。訳せば“日系料理”となるが、そこに表現されている世界観は、もはや完全にペルー独自のもの。その頂点で活躍しているのが、日系2世の若きシェフ、ミツハル・ツムラ氏である。

 ニューヨークや大阪などで料理人としての腕を磨き、2009年に「まいど」をオープンしたツムラ氏。当初は“サシミ”や“スシ”など、いわゆる和食メニューを主体としていたが、次第に料理のスタイルは大きく変化。現在、この店を訪れるゲストが熱望するのは、従来の日本食にとらわれることなく、自由な感性によって生み出される独創の品々だ。

左:次世代ニッケイ料理の旗手、ミツハル・ツムラ氏。
右:スタイリッシュな店内。

 たとえば、シンプルな器に凛として盛り付けられた“ニギリ”。ここには日本では決して用いることができないマカやブラックチリのソースが添えられ、その奥深い味わいが新鮮だ。また、ペルーっ子のソウルフードである“チョリパン”など、和食とは全く異なる味覚体験もコースに取り入れる。全13皿には、シェフの楽しい遊び心が随所にちりばめられ、これこそがニッケイの真骨頂なのだ。

 料理の進化に合わせるかのように、「世界のベストレストラン50」では、このたび順位を31ランクアップさせて13位に大躍進。和食に続く世界的な食のトレンドとなりつつある“ニッケイ”の最先端を、いち早く味わいに出かけたい!

撮影=橋本 篤
取材・文=矢野詔次郎
構成=矢野詔次郎
取材協力=コンドルトラベル
協力=PROMPERÚ ペルー政府観光庁