“子宝の湖”に秘められた悲恋の物語とは?

ダヤン・ブンティン島を海側から見ると、伝説のとおり、子宝を授かった女性の姿のようにも見えます。

 たとえば、南部にあるダヤン・ブンティン・マーブル・ジオフォレストパークへは、点在する島々の合間を縫って向かいます。途中、サル達の島に訪れたり、海上でワシの餌付け(実は、シロガシラトビなど3種類のトンビ)を体験したり。ちなみに、ランカウイ島の名前の由来はラン=ワシ、カウイ=大理石。トンビをワシと勘違い?

ワシの餌付けと紹介されるけれど、実はその正体はトンビ。すぐそばでガイドさんが投げた餌をキャッチします。
ダヤン・ブンティン・マーブル・フォレストパークへ向かう途中に立ち寄るべラス・バサ島。

 ダヤン・ブンティン島に上陸し、セミの声がこだまする山道を抜けて“子宝の湖”という名の湖へ。地元の伝説によると、王子と恋に落ちた女性がこの湖水を飲んで妊娠しながらも、引き裂かれてしまう悲恋が語り継がれています。今も、ここの湖水を口にすると、赤ちゃんを授かると信じられているそう。

約5億年前の地層が隆起し、他の地層と衝突。2つに分かれてしまったダヤン・ブンティン島。

 穏やかな湖はかつて巨大な石灰岩の洞窟で、何千年も前に天井が崩れ、雨水がたまって形成されたのだとか。湖畔にそびえる石灰岩の緑の山々は、ところどころで赤銅色やグレー、オレンジ色などの岩肌が露出し、どこか荘厳な雰囲気がします。

 ちなみに、このダヤン・ブンティン島は地殻変動によって、地中から約5億年前の地層が隆起し、約3億年前の地層とぶつかったことで、まっぷたつに。その衝撃により、石灰岩が上質な大理石に変質したのだそうです。

2016.01.09(土)
文・撮影=古関千恵子