ワインにも野菜にも放牧にも適した、おいしい土壌

ワイナリーへの道を示す標識。ブドウマークがワイナリーだが、ノーマン・ハーディだけはブドウの粒が小さいのはどうしたことだろう? ブドウ品種の違いナンテ、そんな芸の細かいことではないはすだが……。

 プリンス・エドワード・カウンティには現在、32カ所のワイナリーがあり、歴史は10年ほどと浅いものの、優れたワインをつくり出している。この辺りの土壌は地面すぐ下に分厚い石灰層があり、フランスのブルゴーニュ地方の特級畑と似かよっているらしい。ワインづくりに欠かせないテロワール(気候・地勢・土壌すべての条件)が整っているということだ。元トップ・モデルという異色のつくり手などもいて、このエリアのワイナリー巡りはけっこう楽しい。

 なんでもこのエリアはワインだけでなく、おいしい食材も揃っている。豊かな土壌に恵まれ、フレッシュな野菜や旨みたっぷりのチーズの産地でもある。残念ながら訪れることのできなかったオーガニック農場「ヴィッキーズ・ベジ」の野菜は、トロントの人気レストランが指名買いするおいしさ。原種にこだわったトマトだけで160種類もつくっているとか。ぜひ次回! 訪れたい場所のひとつだ。

緑豊かな地は“ガーデン・カウンティ”とも呼ばれ、滋味豊かな食材の宝庫になっている。プリンス・エドワード・カウンティでは地産地消を推進するため、2001年、地元食材店は50%地元の産物を置くという規則を設けた。

Vicki's Veggie(ヴィッキーズ・ベジ)
所在地 81 Morrison Pt Rd, RR#2 Milford, Ontario, Canada
電話番号 +1-613-476-7241
URL http://www.vickisveggies.com/vickisveggies.com/

この界隈で3つの指に入るレストラン「ザ・ハブ・イータリー&ラウンジ」は、毎晩人気の満員状態。カナダの人たちは夕食が早いので、少し時間をずらして遅めに行くのがよいかも。

 で、この地の魅力にすっかりハマった人も多く、カナダのトップ・シェフであるジェイミー・ケネディもそのひとりで、自宅をプリンス・エドワード・カウンティに移したのだとか。のどかな景色においしいワインとチーズ、さらには新鮮な地元食材のおいしい料理とくれば、カナダ人ならずとも引っ越したくなる。とはいえ田舎ではある。5ツ星ホテルや3ツ星レストランが並ぶわけではないが、だからこそ素朴で快適な部屋や料理にめぐり合えるということだ。

2015.10.13(火)
文・撮影=大沢さつき