夜中に食べる罪深き濃厚な味

 ミーゴレンはマレーシアのいたるところで食べることができますが、私がマレーシアでもっともミーゴレンを食べる場所、それは「ママッレストラン」と呼ばれるレストランです。はて? 「ママッ」とは? マレーシアには、インドから移民してきたヒンドゥー教信者とイスラム教信者の大きく二つのインド系マレーシア人が暮らしていますが、イスラム教を信仰するインド系マレーシア人を「ママッ」という総称で呼び、彼らが集い、イスラム教の戒律に添った食事ができるお店が「ママッレストラン」なのです。

マレーシア各地にチェーン展開する人気ママッレストラン「ナシ・カンダー・ベスタリ」のミーゴレン。一皿4リンギット。具には鶏肉、炒り卵、青菜などが定番として使われることが多い。

 ママッのミーゴレンの最大の特徴は、卵とじのような炒め方とその濃厚な仕上がり具合。インド系の人が好むスパイスを多用した辛みの強い麺に溶き卵が絡みついていて、ちょっとネットリとした濃厚な麺が出来上がります。必ず添えられてくるリマウ・カストゥリというライムをぎゅーっと搾り、酸味を加えていただきます。酸味がオイリーさを緩和しながらも、暑い気候にもぴったりなスパイシーでパンチのある味わいなのです。

ママッレストランは、早朝から深夜まで開いていることが多い。遠くからでも見つけられる、派手派手しく輝く看板が目印。

 24時間営業が多いママッレストラン。こんな時間にこってりとしたごはんなんて……と思うような深夜に、ついつい頼んでしまう、たっぷりの油で炒めた濃厚なミーゴレン。そして、スパイシーな食事にはやっぱり甘い飲み物が欲しい……、と一緒にオーダーする練乳たっぷりの甘~いテ・タレ(マレーシアミルクティー)。カロリーを考えたら危険極まりない組み合わせなのですが、分かっていながらも……。そんな魅力を秘めた罪深き濃厚なマレーシアごはん、それがママッレストランのミーゴレンなのです。

夜は涼しいマレーシア。夜中に涼風を感じ、おしゃべりをしながら食べるミーゴレンとテ・タレは至福の味。箸で食べる日本の焼きそばとは違い、スプーンとフォークで食べるのがマレーシア流。

2015.07.23(木)
文=三浦菜穂子
写真=三浦菜穂子、古川 音