オペラファンならずとも訪れたい
壮大で優美なバルセロナのリセウ劇場

プライベート・スペースも見学できるツアー

 この優雅で美しいメインホールのほかにも、館内にはオペラファンならずとも一見の価値があるスペースが多く、一般向けに見学ツアーも実施されている。

1994年の火災のあと、細部にわたって復元されたメインホール。ただし、天井の照明を囲む8個の円形画は、復元後のオリジナル・デザインで、客席の写真をもとにしたコンピュータ・グラフィックが配されている。

 ツアーは何種類かあり、リセウ劇場に行くのがは初めてという方にはガイド付きツアーがおすすめだ。メインホールや鏡の間、更に、隣接するリセウ・サークル(Cercle del Liceu)という、普段は入れないプライベート・スペースも見学できるのがうれしい。このリセウ・サークルとは、劇場の創設とほぼ時を同じくして創立された、いわゆる英国スタイルの社交クラブ。160年以上にわたって地元の名士達が集ってきたクラブだけに、内部にはモデルニスモの素晴らしい調度品や絵画コレクションが揃っており、まるでちょっとしたミュージアムである。

 見学ツアーとしては、時間がない旅行者向けに「エクスプレス・ツアー(日本語でのオーディオガイドあり)」もあるが、見学ルートにリセウ・サークルが含まれないのが残念だ。また生粋のオペラ・ファンなら、舞台装置や楽屋が見られるバックステージ・ツアーも見逃せない。こちらは、観光客が個人で参加できるのは月に1度だけなのでご注意を。

入口を入ってすぐのエントランス・ホール。大理石のしつらえが美しい。(C)Antoni Bofill

往時は、バルセロナの上流階級の社交場だった鏡の間。繊細で優美な装飾が特徴的だ。(C)Jordi Play

文・撮影＝坪田みゆき