知る人ぞ知る!? バルセロナのとっておき最新ミュージアム

 今回は、バルセロナ市民にもあまり知られていない、穴場のアートスポット「ロカ・バルセロナ・ギャラリー(Roca Barcelona Gallery)」をご紹介。

ガラスの箱のような外観。使用しているガラスの形状の効果で表面が濡れているように見え、反射された周辺の建物もまるで水に映し出されたよう。

 地下鉄3号線に乗りマリア・クリスティーナ(María Cristina)駅で下車、地上に出たら、すぐそばにあるデパート、エル・コルテ・イングレスの裏側に回ってみよう。ガラス張りの四角いデザインが特徴的な建物が目に入るはずだ。ファサード前のスペースには、「Roca」の文字。スペインを旅行して何日か経っている人なら「あれ、このロゴどこかでみたような……」と思うかもしれない。

 それもそのはず、Rocaはバス・洗面台などの水まわり機器メーカーとしてスペインを代表する企業なのだ。お泊りのホテルのバスルーム、食事をしたレストランのお手洗い、色んなところで知らず知らずのうちに何度もこのロゴを目にしていてもおかしくはない。この建物は、そのロカが運営しているイベント・ギャラリースペースなのである。

長い壁を横に貫くスクリーンに、さまざまな水のイメージが映し出される。

 水まわりの機器メーカーらしく、外観・内装ともにデザインのテーマはやはり「水」のようだ。1階部分は講演会やワークショップなどにも利用される広いスペースなのだが、その両サイドの長い壁の端から端まで続く細長いスクリーンに、降り注ぐ雨や、揺れ動く波、砕け散る氷などの美しい映像が次々に映し出されていく。その前にいると、包み込まれるようなサウンドと相まって、まるで自分が本当に水の中にいるような気分を味わえる。

階段を下りると、そこがギャラリースペース。上部は2階部分までの吹き抜けで、自然光が降り注ぐ。

 地下1階はギャラリースペース。広さ自体はこぢんまりしたものだが、2階部分までの吹き抜けが開放的で、外壁のガラス越しに入ってくる自然光をうまく取り入れた展示スペースとなっている。現在公開されているのは、「Eduardo Chillida展」(~2015年5月2日まで)。チリーダといえば彫刻家として世界的に有名だが、彼のあまり知られていないグラフィック作品を中心にまとめたもので、小ぶりながらも充実した展示内容が好評だ。

文・撮影=坪田みゆき