ストレスゼロで育つ黒豚のヘルシーな味わい

 ネブロディ山脈の山間に、約38ヘクタールの土地を所有するボッレーロ兄弟社。ネブロディ山脈の黒豚のほか、スローフード認定食品である「ミヌータ種のオリーブ」や「ネブロディ山脈のプロボラチーズ」も生産しています。

ボッレーロ兄弟社では、絶滅危惧種の「アグリジェント・ヤギ」も飼育。

 広々とした飼育エリアで、のびのびと放し飼いにされる黒豚は、ご当地、つまり最も適した環境で育つため、ワクチンや抗生物質も一切必要としない上、騒音や排気ガスなどの環境汚染にさらされることもないので、ストレスもなし。肝臓や腎臓などにエンドトキシン(内毒素)の含有がほとんどないのだそうです。

生後2カ月以内の子豚ちゃんたち。黒光りするプリップリなお肉が、すでに美味しそう……(←鬼!)。

 静寂の山奥で、天然のドングリや樫の実、麦やソラマメの新芽、季節の果物、ミネラルたっぷりのエトナ山の雪解けの水を思う存分食べて飲んで、そして好きなだけ走り回って過ごす黒豚たち。なんだかとてもうらやましい住環境で大切に丁寧に育てられる彼らのお肉は、鉄分が多く、不飽和脂肪酸もたっぷり。ビタミンAやオメガ3、オメガ6なども豊富で、食べるだけで健康になれそうな肉質をしています。

 出産後2カ月はマンマと共に暮らし、3カ月目からはほかの仲間たちと共にのんびり過ごし、最もアミノ酸含有量が高まる18カ月頃から、それぞれの道に進みます(つまり、精肉や加工品に……)。ごく少量のマルサラの海塩で塩漬けにされ、18カ月~24カ月の熟成を経る生ハムは、名品パルマ産に勝るとも劣らないクオリティ。精肉もほんのり甘く深く、透明な脂身はサラッサラ。獣臭さや脂っこさがない見事な味わいを楽しませてくれます。

あまりの美味しさに一本買いしたくなるネブロディ山脈の黒豚の生ハム。

 正式名称は、「スウィーノ・ネーロ・ディ・ネブロディ」。ボッレーロさんによれば、「まがい物が増えてきているので、ぜひこの名前を覚えておいてほしい」とのこと。イタリアはもちろん、日本でもこの名前をメニューや豚製品に見つけたら、ぜひ賞味してみて下さい!

店内の炭火コーナーで、肉類はガッツリ炭火焼。
出来立てリコッタチーズを素揚げしたリコッタ・フリット。
こちらのトラットリアの名物、パン生地を揚げたパーネ・フリット。

Fratelli Borrello
所在地 Contrada Forte,7 Sinagra
電話番号 +39-0941-594844

岩田デノーラ砂和子
2001年よりイタリア在住。約10年間のローマ生活を経て、現在は憧れだったシチリアの州都パレルモ在住。イタリア専門コーディネート・通訳チームBuonprogetto.com主宰。イタリア関連著書多数。近著『おしゃべりのイタリア語』が絶賛発売中。イケメン犬「ボン先輩」と、やらかし系イタリア人の夫「ピンキー」との日々を綴る人気ブログ:ローマの平日シチリア便りもほぼ毎日更新中。

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文・撮影=岩田デノーラ砂和子