作家と職人が互いに刺激しあう高岡独特のスタイル

青木有理子<金工>
1982年富山県生まれ。秋田公立美術工芸短期大学工芸美術専攻科金属工芸コース修了後、高岡市伝統工芸産業技術者養成スクールで鋳造・象嵌を学ぶ。2010年「かんか」立ち上げに参加。

 富山市出身の青木さんは「高岡の職人さんも頼れる存在」だと言う。「高岡の鋳物は分業制で、それぞれ専門の職人さんがいるんです。『こういう作品をつくりたいんだけど』と相談すると、『じゃあ、専門の人間を紹介してあげるよ』と気軽に言ってくれる。職人さんたちはみんな面白がって、熱心に教えてくれます」。作家と職人が互いに刺激しあう。それは高岡独特のスタイルのようだ。

神谷麻穂<陶芸>
1986年愛知県生まれ。2012年金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科工芸専攻修了。アートアワードトーキョー丸の内2012・シュウ ウエムラ賞、14年横浜アートコンペティション・審査員賞受賞。

 陶芸作家の神谷麻穂さんは高岡暮らし1年半。結婚がきっかけで移り住んだ。「北陸はものづくりが盛んな土地ですから、いいものに触れる機会が多い。金工にしても漆器にしても、素晴らしいものに出会うと、自分ももっと頑張らないと、と思います」

梶原朋子<ガラス>
1982年富山県生まれ。2005年女子美術大学芸術学部メディアアート学科卒業。07年富山ガラス造形研究所造形科修了。第4回現代ガラス展in山陽小野田・三輪休雪審査員賞、金屋町楽市inさまのこ・審査員特別賞受賞。

 ガラス作家・梶原朋子さんは地元・高岡の出身だ。東京の美大に通っているときにたまたまガラスと出会い、富山市のガラス造形研究所で技術を磨いた。「地元のお店からオーダーをいただいて、作品を販売しようということになったんですが、『このくらいかな』と値段をつけたら、お店のオーナーから怒られました。『安すぎる』って(笑)。『ちゃんと自分のブランディングを考えなきゃだめだ』と。勉強になりました」。作家を育てる。作品を世の中に送り出す。その手助けをしてくれる人がそばにいる。それも「ものづくりのまち高岡」の伝統なのだろう。

「ひと」と「ひと」が出会い、新しい「もの」が生まれ、やがてそこから「こと」が起こる。そのドラマの舞台、高岡から目が離せない。


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撮影=志水 隆
プロデュース=関 幸子
コーディネート=林口砂里
協力=高岡市