街全体を舞台にした楽しいアートイベント

 ここ5年間くらい、ロンドンでは「アート・トレイル」なるイベントが頻発しています。これは、同一のスカルプチャーに、さまざまなアーティストが思い思いのデザインを施し、ロンドン中心部の各所にて展示する、街全体を舞台とした屋外エキシビションのようなイベントです。2015年には、ウォレス&グルミットでおなじみの「ひつじのショーン」の巨大スカルプチャー100体以上が展示されることが発表されました。

巨大ショーンたちは、2015年春にロンドンの各所に展示される予定。
(C)&TM Aadman/Shaun the Sheep Ltd. 2014 (R)Wallace & Gromit's Children's Charity. Charity No.1043603

 これまでを振り返ると、2010年のさまざまな色柄にペイントされた象が展示された「エレファント・パレード」を皮切りに、イースターの季節にはファべルジェがスポンサーとなった巨大タマゴのアート・トレイル。2012年にはオリンピック・マスコットが街中に登場。また、ロンドンのアイコンともいえる電話ボックス・アートや、最近では本のかたちをしたベンチが街を飾りました。

2012年、ロンドン・オリンピックの前に街中に現れたオリンピック・マスコット「ウェンロック」。
ブリティッシュ・テレコム主催の電話ボックス・アートも。

 いずれのイベントも、なんらかのチャリティと提携、またはチャリティ団体が主催をしていて、イベント終了時に展示品はサザビーズやクリスティーズなどでオークションにかけられ、その収益はチャリティに寄付される、というのが通常の流れです。街角アートとはいえ、例えば、イースター・エッグの合計落札価格は、66万7000ポンドにもなったとか。

 イベント開催時にはウェブサイトが立ち上げられ、設置場所を記したマップが閲覧できるので、地図を片手にお気に入りの作品の写真を撮って歩くのが、ロンドナーだけでなく、ツーリストにも人気です。

文・撮影=安田和代(KRess Europe)