過去130年間の名探偵の歩みを網羅

 ベネディクト・カンバーバッチ主演の現代版「シャーロック」の人気で、いままで以上に注目が高まっているシャーロック・ホームズ。この架空のキャラクターをめぐる、歴史的背景や舞台背景、そしてこの名探偵を描いたドラマや映画作品などを探る一大「シャーロック・ホームズ」展がロンドン博物館にて開催中です。

シドニー・パジェットによるコナン・ドイルの肖像画。(C)Musée Sherlock Holmes de Lucens

 シャーロック・ホームズの最初の一行が書かれたコナン・ドイルのノートブックから、ドラマのなかでベネディクト・カンバーバッチが着用したコートやガウンまで、シャーロック・ホームズの世界を幅広くカバーしています。

本棚の隠し扉から入場。

 まず、エキシビションの入り口は本棚の隠し扉。見学者は全員、この本棚から入場。中に入ると、左側の書庫と右側の巨大な鏡によって、ちょっと不思議な光景が展開されます。

本棚とミラーが不思議な効果を醸す。
左:新旧さまざまな映画のポスターがずらり。
右:ミュージアム・ショップには、さまざまな関連アイテムが。

 最初のセクションでは、映画やドラマなど映像作品に焦点を当て、多数のモニターにさまざまなホームズが。キュレーターのアレックス・ワーナーさんによると、ホームズをベースとした作品は、なんと200以上にものぼるとのこと。今回はそのなかから主要な作品の映像やポスターが展示されています。

キュレーターのアレックス・ワーナーさん。(C)Museum of London

 また、シャーロック・ホームズが生まれた背景に関するセクションでは、コナン・ドイル自筆のノートやホームズの最初の挿絵画家でもあったシドニー・パジェットによるドイルの肖像画、また、作家本人が自身の作品について語るインタビュー映像なども。

左:1902年頃のハイ・ホルボーンの風景(撮影者不明)。(C)Museum of London
右:ラドゲイト・サーカスから見たセント・ポール(1909年)。アルヴィン・ラングダン・コバーン撮影。(C)Museum of London
クロード・モネが描いた「ロンドンの橋(チャリング・クロス橋)」(1902年)。(C)National Trust Images and Derrick E. Witty
1900年頃のベイカー・ストリート(撮影者不明)。(C)Arthur Conan Doyle Collection-Lancelyn Green Bequest, Portsmouth City Council

 さらに舞台となった19世紀後半から20世紀初頭のロンドンの様子を描いた絵画や写真作品、そして、エキシビションは最後のシャーロック・ホームズの多面性へとテーマを展開していきます。ここには、ホームズの室内の再現や、彼の愛用品について、ベネディクト・カンバーバッチが着用したコートやガウンも、このセクションに展示されています。

左:ベルスタッフのコートを着るベネディクト・カンバーバッチ(コリン・ハットン撮影)。(C)Hartswood Films
右:おなじみの鹿撃ち帽とグレートコート(1950年頃)。(C)Museum of London

文・撮影=安田和代(KRess Europe)