特大BBQと熱いブルースの歌声、メンフィスの夜は更ける

当時、黒人は乗ることが許されなかった白人専用バスなどを、人形を使ったりしながらリアルに再現。

 もう一カ所、メンフィスの街の歴史を語る上で重要なのが、キング牧師が暗殺された「ロレイン・モーテル」で、今は「国立公民権博物館」になっている。ここでは、奴隷としてアメリカに渡った黒人が公民権を勝ち取るまでの歴史を見せている。また、キング牧師が暗殺される直前まで過ごした部屋がそのままに保存されていて、その重みが伝わってくる。

左:ガラスの向こうに見えるのは、凶弾に倒れる前に24時間をキング牧師が過ごした部屋。当時のまま保存されている。
右:外見はロレイン・モーテルの時そのままに残っている。

National Civil Rights Museum(国立公民権博物館)
所在地 450 Mulberry St., Memphis, TN 38103
電話番号 +1-901-521-9699
URL http://civilrightsmuseum.org/

クラシックなホテルのインテリア。古きよきアメリカの雰囲気に浸れる。

 こうした南部の重い歴史が感じられる街だが、一方で古きよきアメリカの香りがする美しい「ザ・ピーボディ・メンフィス・ホテル」は、ホテルに飼われているダックが毎日、屋上からロビーの噴水まで並んでお散歩するというほのぼのとした雰囲気。正装のピアニストが音楽を奏でるロビーで、寛いだ時間が過ごせる。

The Peabody Memphis Hotel(ザ・ピーボディ・メンフィス・ホテル)
所在地 149 Union Ave., Memphis, TN 38103
電話番号 +1-901-529-4000
URL http://www.peabodymemphis.com/

もうこのサイズのBBQに驚かなくなった。4人だとぺろり。
ハンバーガーにもグレービーが添えられて、ボリュームがアップ。

 アメリカ中南部のソウルフルな夜を飾るのは、巨大でジューシーなアメリカンBBQを出す「セントラルBBQ」。味付けがしっかりして柔らかなポーク・スペアリブをビールで平らげて、もう一皿と注文がすすむ。その後はブルースを聴きに、ライブハウスやパブが並ぶビール・ストリートへ。まさに、アメリカの魂に触れる気がする。

客席と一体になって盛り上がっていく。熱いブルースのステージ。
左:こちらはゆるいブルースをハーモニカとしゃがれ声で一杯ひっかけながら歌っている。
右:ビール・ストリートには有名なシンガーB.B.キングのお店も。

CENTRAL BBQ(セントラルBBQ)
所在地 147 E. Butler Ave. Downtown Memphis, TN 38103
電話番号 +1-901-672-7760
URL http://cbqmemphis.com/

 アメリカ中南部の旅を終える頃には、肉のボリュームには驚かなくなった。いや、食べ出したら止まらなくなったというべきか。音楽を聴きながら、グラスを傾けてそんな美味肉食の旅を振り返った最後の夜だった。

【取材協力】
メンフィス観光局

URL http://www.mrcusa.net/memphis/
ミシシッピ・リバー・カントリーUSA 日本事務所
URL http://www.mrcusa.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

2014.10.28(火)
文・撮影=小野アムスデン道子