愛らしくロマンティックなチョコ「バーチ」

イタリア中部ウンブリア州の州都ペルージャはこぢんまりとした美しい古都。

 イタリアでお土産に悩んだらとりあえずペルジーナ社の「Baci (バーチ)」がお薦めだ。チョコレートとヘーゼルナッツのコンビが絶妙で、ややいびつなフォルムが愛らしく、ひとつ頬張るとクセになるひと口大サイズのチョコ「バーチ」は、みんなから愛されているイタリアを代表するチョコレートのひとつ。「キッス」という意味の商品名もイタリアらしいし、包み紙の中に5カ国語で書かれた愛のメッセージが入っている演出もなかなかロマンティック。クリスマスや復活祭、バレンタインデーなどの行事前には、スタンタードタイプに加え、期間限定の特別パッケージ版が登場し、プレゼントとしても人気が高い。「Baci(バーチ)」(キッスの複数形)と記されているパッケージの中にはたくさんの「Bacio(バーチョ)」(キッスの単数系) が詰まっているのだが、そんなところも可愛らしい。

「チョコレート博物館」の館内でひと際目を引く巨大「バーチョ」。
様々なパッケージの「バーチ」が並ぶ博物館内のショップエリア。

 創業1907年のペルジーナ社はイタリア中部ウンブリア州の州都であるペルージャで誕生した。後に同社の看板商品となる「バーチ」が世に出たのは創業から15年後の1922年だった。余ったヘーゼルナッツのかけらをジャンドゥイアと混ぜ合わせ、さらにヘーゼルナッツひと粒を丸ごとチョコでコーティングして出来上がったその形から、当時は「ゲンコツ」と命名されたらしいが、その後、名前を「キッス」に変え、包み紙の中に愛のメッセージを入れたことで、女性ウケする個性的なひと粒チョコに変貌を遂げたのだった。

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文・撮影=村本幸枝