東京マラソンと姉妹提携を結ぶローママラソン

コロッセオを背に数万人のランナーが一斉にスタートする様は豪快そのもの。(C) Maratona di Roma

「ローマは何度も訪れているし、単なる観光ではもうもの足りない」。もしそんな日本人ランナーの方がいたら、ぜひ、おすすめしたいのがローママラソンへの参加だ。毎年3月に行われるローママラソンは今年で20周年を迎えた。あいにく今年の開催日3月23日はマラソン日和には恵まれなかったが、ランナーの人口が世界的に増えているせいか、ローママラソンの参加者も年々増加の一途をたどり、今年は9000人以上のイタリア人出場者に加え、海外122カ国から8000人近くのランナーが集うビッグイベントとなった。「フルマラソンはちょっと無理」という人のための“ローマファン(Romafun)”と呼ばれる5キロのショートランニングの参加者を含めると、実に10万人以上のランナーが国内外から集まった。

普段は交通量の多いローマ中心部のヴェネチア広場もこの日はランナーたちに占領される。(C) Maratona di Roma

 東京マラソンと姉妹提携を結んでいるローママラソンは、世界のトップランナーたちが競う重要なレースとは言えないが、ランニングコースの景観の素晴らしさで言えば世界でもトップクラスのマラソンだろう。コロッセオを背にランナーたちが一斉に走りだす様は豪快そのもの。スタート後、コースは古代ローマ遺跡のマルケルス劇場から真実の口へと続き、テベレ川沿いのプラタナス並木道をたどり、映画『ローマの休日』でおなじみのサンタンジェロ城、バチカン市国のサン・ピエトロ寺院を経て、ナボーナ広場からスペイン広場へと抜け、再びコロッセオ近くのゴールまで戻ってくる。街そのものが美術館のようなローマの街の主要観光ポイントをほぼ網羅する、非常に魅力的なコースなのだ。

 言うまでもなくマラソン開催中は全車両が通行止め。私はランナーではないが、街頭の人々の声援を浴びながら、車が一切通らないローマの街並みを駆け抜けるなんて、かなり爽快な気分なのではと想像する。もっともその余裕があればの話だけれど……(苦笑)。

映画『ローマの休日』でおなじみのスペイン広場もローママラソンのコース。

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文・撮影=村本幸枝