ジェッダの命運をかけた「紅海プロジェクト」とは?

 夕暮れの石畳のアル・バラド地区の旧市街を、時を吸い込んだような家並みを見上げながら歩いていると、お祈りの時間を知らせるアザーンが風に乗って運ばれてきました。

 すると、それを合図に軒を連ねる商店が一斉にバタバタと戸締まりをはじめ、店主たちはお祈りへ。あっという間に静かになった街。サウジアラビアの日常を垣間見た気分です。

 紅海に沿って約30キロ続くジェッダ・コーニッシュは、遊歩道や芝生の公園、ナツメヤシの並木道などが整備されたジェッダ市民の憩いの場。ラグジュアリーなホテルやヨットマリーナ、フローティングモスクなどもあり、リゾート気分も味わえます。

 そして夕暮れ時のコーニッシュの名物といえば、「ファハド王の噴水」。世界一を誇り、その水量と水煙の迫力に、それが噴水とわかるまでに少々時間を要したほど。

 ジェッダにはかわいいお店やレストランも多数。女子旅にもおすすめしたい街です。また、フォーミュラ1世界選手権やカルチャー&エンターテインメントの祭典「ジェッダ・シーズン」など、盛り上がるイベントもいろいろ。

 そんなジェッダでは2030年に向けて一大プロジェクトが始動しています。

 この計画は「紅海プロジェクト」と呼ばれ、22の島と内陸部の6か所において、今年9月に開港した紅海国際空港をはじめ、50のリゾートホテルや1000軒以上のレジデンスの建設が進行中。ただし、持続可能な観光開発をテーマに掲げ、自然環境の75%については手を加えないそう。

 いろいろな顔をもつジェッダ。一番印象的だったのは、ジェッダの人々のホスピタリティと好奇心の強さでしょうか。

 全身黒一色のアバヤ姿の女性に話しかけられ、ビクリとしたら「どこから来たの?」。それから、ちょっと立ち話&インスタ交換。今も昔もメッカの玄関口として多くの人を迎えてきたジェッダというお土地柄ゆえの、オープンマインドなのかもしれませんね。ちなみにサウジアラビアの人は大のアニメ好き。ポケモンの話でも盛り上がりました。

ジェッダ

●アクセス ドバイやアブダビなどで乗り継ぎ、日本から13~15時間
●おすすめステイ先 ザ・リッツカールトン ジェッダ
https://www.ritzcarlton.com/en/hotels/jedrj-the-ritz-carlton-jeddah/overview/

取材協力
サウジアラビア政府観光局
https://www.visitsaudi.com/ja

古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2023.12.02(土)
文・撮影=古関千恵子