ウィーンが音楽の都ならば、プラハはさしずめ音楽の郷。街にはクラシックばかりかジャズ、ロックと様々な音色があふれている。夜ともなれば、劇場ばかりかチャペルで、ホールで、数多のコンサートが開かれる。そう。プラハを味わい尽くすなら、聴衆の喜びを満喫しなくては!

 プラハの劇場を3回に渡って紹介します。今回はスタヴォフスケー劇場です。

» 第1回 国立オペラ劇場
» 第3回 スメタナホール

スタヴォフスケー劇場
Stavovské divadlo

モーツァルトゆかりの劇場で聴く、優美なメロディ

映画『アマデウス』の撮影後改装工事に入り、1989年に再開。オペラのほかバレエ、芝居も上演される
この劇場ではかつてニコロ・パガニーニが演奏し、グスタフ・マーラーが指揮したことも

 モーツァルトを聴くなら……ザルツブルクの旧祝祭劇場小ホール、あるいはミュンヘンのキュビリエ劇場か。ここスタヴォフスケー劇場とのゆかりの深さも外せない。ウィーンでウケなかった《フィガロの結婚》も、この劇場での再演で評判となり、翌年にはモーツァルト自らが指揮し《ドン・ジョヴァンニ》の初演が行われた。1787年のこの初演は、その4年前にオープンしたばかりの劇場にとっても意義深いことだったに違いない。世界で唯一、モーツァルトを引き続き上演している劇場だ。

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写真=小野祐次
構成・文=大沢さつき
取材協力=マルチン・ヴァチカージュ、テレーザ・サイモン