ウィーンが音楽の都ならば、プラハはさしずめ音楽の郷。街にはクラシックばかりかジャズ、ロックと様々な音色があふれている。夜ともなれば、劇場ばかりかチャペルで、ホールで、数多のコンサートが開かれる。そう。プラハを味わい尽くすなら、聴衆の喜びを満喫しなくては!

 プラハの劇場を3回に渡って紹介します。今回はスメタナホールです。

» 第1回 国立オペラ劇場
» 第2回 スタヴォフスケー劇場

スメタナホール
Smetanova síň

世界中の音楽ファン集う「プラハの春」音楽祭

一見シンプルに見えるが、要所要所ディテールにこだわった装飾は、見事。チェコ芸術の粋を集めた劇場だ
天井に描かれたフレスコ画“音楽”のアレゴリー。ほかの劇場と違い、20世紀の薫り漂う

 共和国広場に立つ、ひと際華やかなセセッション様式の市民会館。中央奥にあるホールが、クラシックファン垂涎の「プラハの春」音楽祭が開幕される聖地だ。毎年5月12日のスメタナの命日に、代表作《我が祖国》が演奏されることで知られる。

 このホールはプラハ最大のホールで、舞台中央にスメタナのレリーフが象徴として収められている。天井には、音楽、ダンス、詩、演劇の寓意のフレスコ画。彫刻やパネル、天井のガラスなど。20世紀初めに活躍したチェコの芸術家たちが腕を振るった装飾は、細部にわたり素晴らしい。

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写真=小野祐次
構成・文=大沢さつき
取材協力=マルチン・ヴァチカージュ、テレーザ・サイモン