――ところが、『田舎に泊まろう!』のロケで、レギュラーの松本康太さんが、ほしのさんの実家に泊まったことで転機が訪れた、と。

ほしの 高校1年生のときでした。松本さんと出会ったことで、親に「芸人になりたい」と伝えられると思えたんですよね。もし、松本さんがいらっしゃっていなかったら、どのタイミングで言えていたんだろうって今でも思います。有名になってやるという夢をあきらめていた可能性だってある。松本さんには感謝しかないんです。

あえて吉本に入ったわけ

――お笑い芸人を志すにあたって、ほしのさんはNSC(吉本総合芸能学院)東京校15期生として入学します。ネガティブな性格を考慮すると、お笑いの最大手である吉本興業、その養成所の門を叩くというのは意外な気もします。なぜ、あえて王道を?

 

ほしの 何と言いますか、“正面突破”というか、自分の中では障害がどれだけハンデになるんだろうという不安がとてもありました。ですから、小さいところから始めてしまうと、障害のほうが上にきてしまって、芸人であることが目立たなくなってしまうんじゃないかって考えたんです。芸人として正面突破で笑わせたかった。有名なところに行って、芸人として評価されたいというのを目標にしてがんばっていました。

――めちゃくちゃしっかりしているというか、合点がいきました。

ほしの ボーッとしていると思われがちなんですけど、ちゃんと計算して生きているタイプなんです(笑)。吉本さんにはいろいろなタイプの芸人さんがいらっしゃるので、受け入れてくれるのかなというのもありました。

 ただ、実際に入ってみると、自分の実力不足ということもあるんですけど、「自分がどう見られるんだろう」というのが一番のネックになって……。元気にネタをすることが、逆に痛々しく映ってしまわないかなとか、他の芸人さんから学んだことを自分がやっても面白く見えないんじゃないかとか考えてしまって。

2023.05.26(金)
文=我妻 弘崇