“自分自身が分からなくなっていく”という恐怖

――作品に描かれている恐怖、自分だったら一番これが怖いっていうのは?

 越してきた「供花村」で、独特の習慣を持つ「後藤家」の人々と関わるうちに、飲み込まれていく感じというか。大悟の家族にはある問題が起きていて、この「供花村」に引っ越してくることでそれを乗り越えようと思っているんですよね。

 だからそもそもその村に、そんなに強烈な人たちがいると思っていないんです。それが「ここに溶け込めない俺がおかしいのかな」と自分自身が分からなくなっていく。

 そういう怖さって、普通に生きていてもたまに感じたりするし、妙なリアリティがあるんですよね。外国の地方の小さな村ってどういうものなのか監督と話したりもしましたが、たぶん日本だけではなく共感してもらえる部分もあるのかなと。

――片山監督が日本の美しい風景を探して、様々な地域の相当な奥地で撮影したそうですが、何か印象に残ったことは?

 緑が多いなと思いました。ロケで山の上の方に行くと電波が無くなっちゃって、カーナビの地図がフリーズしてしまうんですよね。

 そういう時に限って通行止めみたいな場所に出くわし、行きたい方向に行けないみたいなことがあり混乱しました。その時は夜中の撮影で深夜の12時だったんですけど、ほんとにパニックでした。

――片山監督は日本映画界でも「一筋縄ではいかない監督」だと思いますが、ご一緒した感想は?

 現場での頼りがいがすごいあるんですよね。やっぱりこういう作品って、意識したわけじゃないのに現場がネガティブになったりする場合もあるんですけど、そうはさせない、現場の中心でひっぱってくれる感じがあって。たぶんもともとそういう、みんなに好かれる性格、ついていきたくなっちゃうような人なんですよね。

 僕だけじゃなく、これはみんな言ってました。

――今回はダークヒーローといった感じですが、マンガやアニメでお気に入りのヒーローはいますか?

 マーベル作品が大好きでずっと見てて……ほんともう、出演したいです(笑)。これは3~4年前の話なんですが、ある時、是枝監督から急にメールが来たんです。LAでディズニーのデザイナーさんと話していた時に、『ベイマックス』のヒロという男の子のキャラクターの話になって、それが僕のデビュー作の『誰も知らない』のルックからインスピレーションを受けて作ったと、わざわざメールして下さったんです。

 それが僕の中で本当に特別なことで、感動しました。こうしてディズニー作品を関わることができたことも、本当に嬉しいです。

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柳楽優弥(やぎら・ゆうや)

1990年3月26日生まれ、東京都出身。2004年「誰も知らない」で第57回カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞受賞(日本人初史上最年少)。そのほかの出演作に映画「星になった少年 Shining Boy & Little Randy 」「銀魂」「泣くな赤鬼」「浅草キッド」「ターコイズの空の下で」「HOKUSAI」「太陽の子」「夜明け」などがある。

『ガンニバル』
ディズニープラス「スター」にて12月28日(水)より独占配信

■原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
■監督:片山慎三、川井隼人 ■脚本:大江崇允 ■プロデューサー:山本晃久、岩倉達哉
■出演:柳楽優弥 笠松 将 吉岡里帆 高杉真宙 中村梅雀 倍賞美津子
https://disneyplus.disney.co.jp/program/gannibal.html

2022.12.28(水)
文=渥美志保