ケーブルカーに乗ってさらに楽しむ

ケーブルカーFunicular de Sant Joanでさらに山上へ。修道院がみるみる小さくなっていく

 修道院の周辺には、モンセラットの詳しい解説がされているAVスペースや、モネ、ドガなどの印象派からピカソ、ダリまでの充実したコレクションを展示するミュージアムなどがあり、それらを見るだけでも一日たっぷり楽しめる。

 とはいえ、せっかく「山」まで来たのだから、屋内の施設を楽しむだけではもったいない。今度は、ふたつあるケーブルカーのいずれかに乗り込もう。修道院のある高さから少し下に下りるFunicular de la Santa Covaは、その名(Santa Cova 聖洞窟)の通り、前述のマリア像が見つかったとされる洞窟方面に下りるケーブルカー。下車駅から洞窟までの約1.5キロの道のりは、モニュメントのロザリオと呼ばれている。道沿いにはガウディをはじめカタルーニャの芸術家たちが聖書のさまざまな場面を表現した作品が配置され、それをたどりながら進んでいけば、いつの間にか礼拝堂のある洞窟にたどりついているという具合だ。

ここまでくれば頂上も間近に見える

 もうひとつのFunicular de Sant Joanは、モンセラット山のさらに上方まで運んでくれるケーブルカー。こちらに乗る際は、いちばん下側に陣取りたい。急勾配を上がるにつれ、先ほどまで見ていた修道院がみるみる小さくなっていき、急上昇感100%だ。

 上がった先は、標高約1000メートルにあたる。高いと思っていた修道院(標高約720メートル)を下方に見据え、はるか地平の彼方まで見渡す爽快感は最高である。ここはモンセラット山中を縦走するハイキングルートにもあたっているので、山歩きの好きな方はぜひ時間をゆっくりとって楽しんでほしい。ただし、最終の下りケーブルカーを逃してしまうと歩いて下山することになってしまうので、それだけはご注意を。

 モニュメントも山の自然も満喫したら、そろそろバルセロナに戻る時間だ。行きはアエリ(ロープウェイ)で登ったところを、帰りはクレマイェラ(ラック式登山鉄道)を利用しよう。下まで降りると、Monistrol de Montserrat駅にはバルセロナ行きの電車がすぐ来るようにダイヤが組まれている。ロープウェイとの乗換駅(Aeri de Montserrat)のひとつ手前から乗り込むことになるので比較的座りやすく、その点でも使いやすい。クレマイェラは一気に登ったロープウェイとは異なり、名残を惜しみながら20分かけてふもとまで降りてゆく。バルセロナも秋を迎え、自然の中で過ごすひと時が気持ちいい季節。モンセラットを訪れるにはベストシーズンである。

モンセラット総合インフォメーション
URL www.montserratvisita.com/en/index.html

坪田みゆき(つぼたみゆき)
バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材・撮影コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/

Column

気になる世界の街角から

世界の12都市から、何が旬で何が起きているかをリポートするこのコーナー。
その街に今すぐ飛んで行きたくなる情報ばかりです!

text:Miyuki Tsubota