食と酒と旅を愛する文筆家のツレヅレハナコさんが、Instagramの3年間(2018年~2021年)を1冊にまとめた『まいにち酒ごはん日記』を出版。楽しかったことを記録して覚えておくことは「嬉しいことの貯金」だと語る、ハナコさん。インタビューを過去の人気投稿と一緒に掲載します。

「食べたいものリスト」をつけていた小学生時代

ーー昔から日々の食べたものや飲んだもの、美味しかったりしたことを記録していたんですか?

 子どもの頃から食べることは大好きでしたが、今のように日記的に記録することはなかったです。ただ、小学生のときにソビエト連邦時代のロシアに1か月ほどホームステイすることになったとき、「ロシアで食べたいものリスト」をノートにびっしり書き連ねたり、大人になって飲食店に通うようになると「行きたい店 閻魔帳」という自作手帳を作り、次に行きたいお店の名前と食べるべきメニューを記したりはしていました。

 実際に自分が食べたものや飲んだものを記録するようになったのは、16年前にホームページを立ち上げてから。日々のいろいろなことを書こうと思っていたので、1分くらいでつけたタイトルが「ツレヅレハナコ」です。

ーー今のように毎日更新していたのですか?

 頻度が上がったのはInstagramになってからですね。ホームページを始めた頃は、毎晩飲みに行っていたので書く時間がなくて、1週間分まとめて一気にアップしていました。ちょうど酒場にはまっていて、週に10軒、1日に2~3軒はしごするのが当たり前。30代なのでお金はないけど、体力と好奇心だけは売るほどありましたから。

 しかも当時は、デジカメで撮った写真をパソコンに取り込まなくてはいけなかったので、今のように電車の中で簡単にスマホでアップできませんでした。ホント隔世の感があります。

 ホームページを改めて見返してみると、トータルの文章は今より断然長くて、5,000字くらい平気で書いていましたね。雑誌の編集の仕事をしていたとはいえ、ウェブは見せ方が全然違うので、ひとつの話をコンパクトにまとめて、間に写真を差し込みながら、テンポよく読んでもらうテクニックはこのときに培われた気がします。

 それにしても、よく仕事でもないのに、あんなにたくさん写真を撮り、膨大な量の文章を書いていたなと自分でも思います。

2022.06.03(金)
文=和田紀子
写真=ツレヅレハナコ