京都の寺院に待っているのは早朝の坐禅や貸切の襖絵鑑賞など、新たな扉の向こうに一歩を踏み出すような体験。
賑わうなかでの参拝とはまた違う寺院での時間は、深く呼吸したくなる心地よさに満ちている。安らかな時間が過ごせるおすすめの5寺をご紹介。
月にわずかの貴重な機会、個別拝観で襖絵と向き合う
◆大雄院(だいおういん)
近年、京都の寺院において次代へと受け継がれるであろう襖絵の制作が盛ん。そのひとつが妙心寺塔頭、「大雄院」の《千種の花の丸襖絵》だ。
そもそも大雄院には美術家・柴田是真による72面の障壁画が今も残る。
「縁ある是真を広く知ってほしいこと、丸は禅の教えの円相に繫がることから、すべては始まりました」と、住職の石河法寛さんは「襖絵プロジェクト」を振り返る。
かつての御所、明治宮殿の広間・千種の間の天井には是真による112の花の丸図が描かれていた。後に戦火で消失し、現在は下絵を残すのみ。
その絵を宮絵師・安川如風さんの筆で襖絵として復活させたのだ。通常は非公開、特別拝観でしか目にすることができない襖絵だが、実は個別拝観というスペシャルな提案がある。
「細部まで丁寧に描かれた絵は、いくら見ても見飽きることはありません。
静かに襖絵と向き合う時間を過ごしてもらえたら」の言葉をありがたく受け取りたい。
大雄院(だいおういん)
所在地 京都市右京区花園妙心寺町52
電話番号 075-463-6538
https://www.daiouin.com/
※通常は非公開。 個別拝観は月に1週間~10日ほどを予定。詳細・申し込みはホームページで
Feature
心と美に向かう
寺院での静謐なひととき
Text=Mako Yamato
Photographs=Atsushi Hashimoto