京都の寺院に待っているのは早朝の坐禅や貸切の襖絵鑑賞など、新たな扉の向こうに一歩を踏み出すような体験。

 賑わうなかでの参拝とはまた違う寺院での時間は、深く呼吸したくなる心地よさに満ちている。安らかな時間が過ごせるおすすめの5寺をご紹介。


知識欲を刺激される、ここにしかないツアー

◆仁和寺(にんなじ)

 京都三大門のひとつである壮大な二王門や、京都で最も遅く咲く御室桜で知られる「仁和寺」は、仁和4(888)年の創建。

 出家して法皇となった宇多天皇が境内に暮らしたことから御室御所とも呼ばれてきた。

 かつては門跡寺院として皇室との縁も深く、京都御所の紫宸殿を移した金堂などにその優雅さを漂わせている。

 そんな仁和寺で静かに注目を集めるのが、僧侶の案内で巡るプライベートツアーだ。

 阿弥陀三尊が安置された金堂や、回転式書架を備えた経蔵、五重塔の初層内部など、通常は非公開の建物の扉が次々と開かれていき高揚感は募るばかり。

 とりわけ心柱を中心に大日如来をはじめとする五仏を安置、極彩色の仏画で一面に胎蔵界曼荼羅が描かれた五重塔初層は息を呑むほどの迫力だ。

 場面場面での僧侶による解説は当然ながら的を射て詳しく、知見を深められるのも大きな魅力となる。

 ただ見るだけではない、知識欲を刺激される、ここにしかないツアーが待っている。

仁和寺(にんなじ)

所在地 京都市右京区御室大内33
電話番号 075-461-1155
開館時間 9:00~16:30(12~2月 9:00~16:00)
拝観料 800円(御所庭園)
https://ninnaji.jp/
※[特別プライベートツアー]10:00~15:00の30分ごとに受付。所要時間1時間30分。1~2名 7,800円~。申し込み・開催日など詳細はホームページで

Feature

心と美に向かう
寺院での静謐なひととき

Text=Mako Yamato
Photographs=Atsushi Hashimoto