便利さが重視される時代と逆行し、行きやすさのハードルを上げた秘境に土地と深く繋がった滞在型の美食の地が2020年以降、各地で誕生している。
温泉地でもない人里離れた場所になぜ? その答えが“旅の醍醐味”の新たな扉を開ける。おすすめオーベルジュ3軒をご紹介。
淡水魚、ジビエなど山の幸で魅せる懐石料理
◆オーベルジュ玄珠
[岐阜・大原]
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岐阜県の郡上八幡と高山を結ぶ紅葉の名所である約70キロのドライブロード、せせらぎ街道近くに佇むオーベルジュ。
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「三重のお伊勢様から日本海に抜ける通りに美食の宿を」という想いで、標高800メートルの山間の集落・大原(おっぱら)の恵まれた環境を生かし2020年に誕生した。
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コルゲート鋼板の外壁、ドーム型屋根の造りがデザイン性に溢れ、館内は天井の曲線美が生み出す空間が安らぎを与える。
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料理長を務める「東京𠮷兆」出身の早川直樹さんは、フランス、タイなどの公邸料理人としての経験もある、柔軟な発想の持ち主。
和のオーベルジュの極意を知るために滋賀「徳山鮓」の徳山浩明さんの門を叩き、“土地を知る”姿勢を学んだという。
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「生産者との繋がり方は徳山さんの姿を見て勉強させてもらいました。今は食材の生産現場に足を運ぶことでアイディアをもらうことが多いです」と話す。
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近くを流れる清流・馬瀬川で獲れるサケの一種、天魚や岩魚のほか、スペシャリテには奥飛騨の温泉水と山水で育ったすっぽんを使う。
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炭火で焼くと綺麗な油が滲み上質な手羽先のような味わいになり驚かされる。
前菜にフランス仕込みのコンフィを添え、明宝産ジビエの鹿を供するなど、海外で培ってきた洋のエッセンスが入り、献立の振り幅の広さを実感。
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山の恵みに満たされ、余韻を感じながら眠りについた翌朝は、テラスから望む山景色が心に静けさをもたらす。
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朝食は契約農家で栽培した甘みのある米に高山の焼き豆腐など、水の聖地、飛騨・美濃の美味しさが体に沁み渡り、清々しい一日の始まりに。
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Pairing
ペアリング(4種) 5,500円。カリフォルニアのPEDRONCELLI CABERNET SAUVIGNON、高山の「二木酒造」に造ってもらった玄珠オリジナルプレミア酒、玄珠オリジナル大吟醸酒など。
◆オーベルジュ玄珠(オーベルジュげんじゅ)
所在地 岐阜県高山市清見町大原801-5
電話番号 0577-70-8861
客室数 15室
料金(1名) 29,150円〜(1室2名利用、2食付き)
https://hidaoppara.com/
※冬季営業に関してはホームページで確認を
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Feature
全身で土地に向き合う
秘境のオーベルジュへ
Photographs=Jun Hasegawa