ミシュランの星付きレストラン&充実のスパ
右:メインダイニングから “カニとアボカドのカクテル”。素材同士が濃厚に絡み合い、口中に幸せが広がる。19ユーロ
さて、食部門である。シグネチャーレストランの「ラ・キュイジーヌ」を率いるのはシェフのローラン・アンドレ氏。今年ミシュラン1ツ星を獲得したばかり。まず、このダイニングはとても開放的だ。それがスタルク氏の狙いでもあるのだそうだが、堅苦しさがどこにもない。そして、食べている料理は紛れもないフレンチなのだが、実に軽やかで好ましい味だ。胃にとても優しく、食材一つひとつの美味しさが立ち上ってくる。
イタリアンレストラン「イル・カルパッチョ」は、パリのイタリアンで一軒だけミシュラン1ツ星の栄誉に浴した店だ。
右:イタリアン「イル・カルパッチョ」から“塩ダラのクリームペーストのラビオリ”。ラビオリの中にアサリとニンニクとバジルの旨みが凝縮されている。29ユーロ
最後にデザートだが、パリっ子だけでなく世界中をアッと驚かせたのが、パティシエに斯界の革命児ピエール・エルメ氏を起用したことである。オリジナルデザートはもちろん、パティスリーやマカロンまで、すべてがエルメとは、甘党と言わずとも至福と呼ぶべきだろう。
スパの充実ぶりも桁違い。クラランスの“マイ・ブレンド”ラインとして初の展開であるばかりか、空間を自ら“純白のパラダイス”と呼ぶように、いたるところが白い布で覆われ、まさに雲上に遊ぶがごとし。広さは1500平米もあり、パリのホテルで最長の美しいプール、ワッツ(水中マッサージ)用プール、フィットネスルームも完備。ヨガ、キネシス、ピラティス専用のトレーナーに専用ルームまである。
最後に、シートまでもをスタルク氏がデザインしたという座席数99席の館内シアターがあることも付記しておきたい。ともすると、パリにいながらほとんどホテル内で暮らせてしまうのだ。人がこのホテルで体験するのは、アーバンリゾートの最終進化形なのかもしれない。
photographs:Yuji Ono
text:CREA Traveller