那須の高原野菜がたっぷり。客室で至れり尽くせりの料理を堪能

 快適性を重視する宿は沢山あっても、料理を客室まで運んでくれる宿は少ないもの。「那須別邸 回」では食事処に移動せずに、夕食はもちろん、朝食も客室でいただける。プライベート空間から外に出ることない時間は、まさに暮らすような滞在を実現し、アフターコロナ時代にもうってつけだ。

「本日のお造りはコチと鯛とスズキでございます。土佐醤油のほか、白身魚にあうジェノベーゼのような大葉のソース、トマトと塩のソースをご用意しております」

 サービスを担当してくれたのは、宿に20年務める知久剛さん。ワインのソムリエ、酒ディプロマの資格をもち、物腰のやわらかな接客が印象的。

 お造りの後に供されたのは、若鮎の2種の焼き物。さっぱりとした「塩焼き」と燻製のような「魚醤焼」はそれぞれに個性があり、これまで体験したことのない味わいだ。

 メインは、那須黒毛和牛と三元豚の豆乳しゃぶしゃぶ。那須のA5ランク牛は驚くほど柔らかい肉質で、口の中でとろけるよう。

  普段はこんなにたくさんの量を食べることはないのだが、あまりにおいしくて、あっという間に一皿を平らげてしまった。

 ミネラルたっぷりの「白美人」という白いねぎをはじめ、白菜、キャベツ、空芯菜、大根、おかひじきなど、野菜もたっぷり摂れるから体にもよさそうだ。

※季節によって提供メニューは変わります。

 「部屋に籠もってばかりじゃ飽きる」という方は、お宿の探検に出かけるのもいいだろう。チェックインの午後3時から夜10時までの間は、スパークリングワインやビールなどを好きなだけ飲むことができるラウンジ(コロナ禍ではセルフバー仕様)で優雅な時間を過ごすことができる。

 外へ出れば、那須の自然をそのまま湛える小さな森があり、四季折々の姿が美しい木々を眺めながら散策ができる。また、「那須別邸 回」の玄関から徒歩30秒の山水閣では、男女別大浴場や貸し切り風呂(有料)を楽しむことも可能。

 散策中に目に留まるのは、個性的なデザインの「椅子」たち。自称「椅子オタク」の宿の主人、片岡孝夫さんが北欧家具を中心に集めたコレクションだそう。なかには家具メーカーとコラボして生まれたオリジナルもあるという。

文・写真=野添ちかこ